東の海の料理人？【ワンピース】 (ページ29)

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28:おにぎりページ29

がしゃん、と食器が擦れる音に紛れるように舌打ちを一つ。

"俺はパンが嫌いだ"

「テメェの好き嫌いなんか知るか！先に言え！っあﾞーーーーームカつく！！」

結局一口も口にせずに部屋に戻っていった船長には苛立ちが募るばかり。

旨いと言わせる自信はある。が、一口も食べてもらえないならそれは不可能だ。

大体パンが嫌いってなんだそりゃ！好き嫌いが独特すぎる！！！

「っはぁーーーーーー……！」

ばしゃばしゃと流れる水に盛大なため息。

同時にパチパチッと言う音を耳が広い、直ぐにコンロの火を消す。
食堂の時計を確認して洗い物を終わらせてから、冷蔵庫の中に冷やしておいたエレファントホンマグロの醤油漬けを取り出し、適当な大きさに切り分ける。

七分経ったのを見てから土鍋のふたを開け、つやつやした米をふんわりと切り混ぜる。

手を水で濡らし、塩を馴染ませ炊き立ての米を取り、漬けマグロを具にして握る。

幾つか作った後に手を洗い、海苔をさっとコンロで炙り、香りを確認してから出来上がっているホカホカのお握りを包むように巻く。

昨夜漬けておいたキュウリの浅漬けを添えて、温かい茶と共にトレーにのせる。

……あんなヤツに食わせるのは癪だが、何にも手をつけないってのもムカつく。

そう言えば、昨日のラーメンだって「旨い」と言われた記憶がない。

「……絶対に旨いって言わせてやる」

トレーを手に、私は今日も船長室の扉を叩いた。

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