帰り道を辿る ページ7
花壇の花植えも終え、私は三橋くんの隣に並び帰り道を歩いている。
話してみると以前まで抱いていた怖い、というイメージも薄くなり少し砕けて話せるようになっていた。
｢____(もしかしたら、三橋くんは良い人なのかもしれない)｣
｢あ、Aちゃん。あれあれ、旨そーじゃね?｣
肩をﾎﾟﾝﾎﾟﾝ、と叩かれ指で示された方を向くとそこにはたい焼きが売られていた。目の前で焼かれているため甘い匂いに鼻孔が擽られ、自然と吸い寄せられる様に足が進む。
｢Aちゃんも食う?｣
｢っうん、食べたい｣
｢おばちゃーん、たい焼き二個ね｣
指で“二個”と言うように示すとたい焼きを焼いていたおばさんは、出来上がって直ぐのたい焼きを紙に包んで渡してくれた。
美味しそう___ﾎｶﾎｶと温かい温もりが手から伝わり、私のお腹はｸﾞｩｯ、と訴えてくる。もしかして、聞こえた…?と思い横を向くと、三橋くんがﾆｺｯと笑い
｢っ…(聞こえてたかな)｣
しかし、私の考えを上回る言葉が鼓膜を震わせた。
｢Aちゃん、ゴチになりまーすｯ｣
｢…え?｣
｢だーかーらー、たい焼き___ゴチになりまーすｯ。｣
驚きのあまり言葉が出ず瞬きを繰り返す私に、三橋くんは先程よりもゆっくりと唇を動かし同じ言葉を声に出す。
そうじゃない、何故、私が三橋くんのたい焼きを奢るの?と言うより、さっきの言い方だと三橋くんが奢ってくれる様な流れだったんじゃ____思考回路が追い付かなかったが、早くと急かされた私は自分と三橋くんの分を払っていた。
｢Aちゃんはさ、たい焼き尻尾と頭どっから食う?｣
見直しかけた私がバカだった。私はたい焼きを頭から頬張り乍、三橋くんからの質問を軽く流す。
｢頭からかｧ、俺は尻尾なんだよなー。最後にアンコたっぷり食いたいじゃん?｣
“タダで食えるたい焼きうめｪわー”と口の周りに餡を付け笑う三橋くんに、一層怒りが込み上げたのは言うまでもない。
やっぱり三橋くんに関わると、ろくなことないや。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 309人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
asasas(プロフ) - 今まで見た小説の中で1番好きです (2023年3月6日 23時) (
レス) @page46 id: 279c9e9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - すっごく面白かったです！！ 京子さん、、途中で嫌になったけどねwww でもすっごく良かったです！！ (2022年8月6日 20時) (レス) @page26 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
夜 . - らなのMonOさん» 読んで頂きありがとうございます！少し子どもっぽい三橋に成ってましたが、楽しんでもらえた様で嬉しいです！ (2019年1月2日 18時) (レス) id: 7f1a5ac1a8 (このIDを非表示/違反報告)
らなのMonO(プロフ) - 三橋が可愛いすぎて辛かったですww青春って感じがして面白かったです！ (2019年1月1日 12時) (レス) id: dce8680b38 (このIDを非表示/違反報告)
夜 . - Snさん» Snさん、此方も読んでくださってありがとうございます！子ども染みた悪戯をしそうだな、と私自身書いていて楽しかったです笑 未だどのようなモノを新しく書いていくかは未定ですが、参考にさせてもらいます！ (2018年12月30日 13時) (レス) id: 7f1a5ac1a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜 . | 作成日時：2018年12月6日 22時
