お話しましょ ページ32
私は自販機で三橋くんが好きそうな飲み物と、自分用のお茶を買う。
また急いで戻らないと、と思い先程来た道を戻ろうと振り返ると「Aちゃん?」と、聞き慣れた可愛らしい声に足を止める。
「やっぱりAちゃんだ、どうしたの?そんなに慌てて」
両手に持った二本の缶を不思議そうに見詰める赤坂さんに、何て話せば良いんだろう。と少しばかり緊張してしまう。
「えっと、飲み物買うのを頼まれたから、次いでに自分のもと思って…」
赤坂さんは?と聞いてみると、「私も飲み物を買いに来たの」と柔らかく笑みを浮かべ、自販機から先程私が買ったお茶を取り出す。
「Aちゃんは次の授業何するの?」
「私の所は数学なんだ、赤坂さんの所は?」
気が付けば二人並んでゆっくりとした足取りで教室へと向かっていた。
他愛ない話を広げ乍、私は赤坂さんの声に耳を傾ける。話の中には三橋くんの名前や、伊藤くんこの間会った京子さんの名前も出てきており、本当に仲が良いのだと微笑ましく感じた。
「最近、廊下を走ってる姿を見るけど…もしかし三ちゃん絡み?」
「ッ、見られてたんだ。」
まさか他のクラスまで私が廊下を走る姿が見られていたのか、と思うと恥ずかしさで熱くなる。
そして、赤坂さんの質問に頷いて良いものか…と思案する。
きっと赤坂さんは三橋くんが好き、だと思う___推測でしかないが、その相手を前に誤解を招くような発言をしてしまわないか私は変に緊張をしてしまう。
私の顔を見た赤坂さんは「あ、当たった?」と、私の顔を覗き込むように見てきた。
私は少し間を空けて頷くと赤坂さんは
「もぅ、女の子に飲み物買いに走らせるなんて___!後で言っておかなくちゃ。」
まるで自分の事のように怒る姿に、顔も可愛くて性格も良い何て…私じゃ到底敵わないんだらうな、と呟く。
「…(な、何でそういう考えになるんだろ)」
内心呟いた自分の言葉に疑問を抱き乍、赤坂さんへ「ありがとう」と伝えると、赤坂さんは首を左右に振り乍また可愛らしい笑みを浮かべた。
漸く、自分の教室へ着いた頃には授業がとっくに始まっており赤坂さんに手を振り別れる。その後、後ろの扉から静かに入り「遅れました」と先生に謝り席へと座る。
「何してたんだよ、遅すぎ」
不満そうに小声で話す三橋くんに「内緒」と、笑って返した。
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asasas(プロフ) - 今まで見た小説の中で1番好きです (2023年3月6日 23時) (レス) @page46 id: 279c9e9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - すっごく面白かったです!! 京子さん、、途中で嫌になったけどねwww でもすっごく良かったです!! (2022年8月6日 20時) (レス) @page26 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
夜 . - らなのMonOさん» 読んで頂きありがとうございます!少し子どもっぽい三橋に成ってましたが、楽しんでもらえた様で嬉しいです! (2019年1月2日 18時) (レス) id: 7f1a5ac1a8 (このIDを非表示/違反報告)
らなのMonO(プロフ) - 三橋が可愛いすぎて辛かったですww青春って感じがして面白かったです! (2019年1月1日 12時) (レス) id: dce8680b38 (このIDを非表示/違反報告)
夜 . - Snさん» Snさん、此方も読んでくださってありがとうございます!子ども染みた悪戯をしそうだな、と私自身書いていて楽しかったです笑 未だどのようなモノを新しく書いていくかは未定ですが、参考にさせてもらいます! (2018年12月30日 13時) (レス) id: 7f1a5ac1a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 . | 作成日時:2018年12月6日 22時