三橋くんは三橋くん ページ11
私は三橋くんにおぶられ乍長い廊下を渡り保健室へと向かう。その間、周りの視線が突き刺さっており私は恥ずかしさから顔を隠すように、三橋くんの背に顔を埋めた。
三橋くんは｢邪魔だっての!｣と声を上げ廊下を我が物顔で突き進む。有り難い、が…恥ずかしい。
やっと、保健室へ入ると保健の先生は不在らしく私は優しく椅子へと降ろされた。
｢しょーどく、少し染みる…と思うけど我慢な｣
まるで小さな子どもに言い聞かせるような口調に、自然と私は頷いていた。数度消毒液を傷口に掛けられ、ｽｰｽｰする感覚と共にﾋﾘﾋﾘとした痛みが膝を駆け巡る。
三橋くんは慣れた手付きで大きめの絆創膏を傷口に貼ると｢次手な｣と言い乍、私の手に大きなゴツゴツとした手を重ねそこへも消毒液を掛けていく。
｢っ〜…!｣
｢何にも無いとこで転ぶのも、Aちゃんだけじゃね?｣
｢少し、スペース上げようとしたら…足がもつれて｣
そんなに盛大に転んだのか?目の前の三橋くんは、思い出しては笑う事を数度続けているため、そんなに酷かったのか…と、溜め息を吐く。
視線を合わせずガーゼとテーピングで傷口を手当てしてもらっている様子を眺めていると、私の頭を三橋くんは髪を乱すように撫でてきた。
驚きの余り顔を上げると、そこには柔らかな眼差しで私を見詰める三橋くんの顔があり、私の心臓はﾄﾞｷﾘと跳ねる。
｢次は気ｨ付けろよ、また転んだらおぶってやるけど何か奢って貰うから｣
｢っ、飴なら…鞄に｣
“イチゴだけど”と訪ねると、三橋くんは数度瞬きを繰り返した後、ｹﾗｹﾗ声を上げ笑っては｢ガキじゃねーよ俺｣と声に出し
｢近くの茶店のレスカ奢るくれｪしてもらわねーとな｣
尚も肩を揺らし笑う三橋くんに｢金欠だから?｣と疑問を投げ付けると｢バレた?｣と、頬を掻き言葉を返す。
あ、私理由を付けられて集られてるだけじゃん。と悟った私は、やっぱり三橋くんは三橋くんだ。と内心呟いた
｢ンじゃ、今日の放課後な｣
｢え、放課後?何が____｣
｢さーてーん、レスカ奢ってくれるってAちゃん言ったじゃーん｣
まだ何も言ってない、と言う視線を向けるが…三橋くんは知ってか知らず、私へ｢又々ゴチになりまーす｣とこの間同様、ムカつく程良い笑顔で言い切った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 309人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
asasas(プロフ) - 今まで見た小説の中で1番好きです (2023年3月6日 23時) (
レス) @page46 id: 279c9e9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - すっごく面白かったです！！ 京子さん、、途中で嫌になったけどねwww でもすっごく良かったです！！ (2022年8月6日 20時) (レス) @page26 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
夜 . - らなのMonOさん» 読んで頂きありがとうございます！少し子どもっぽい三橋に成ってましたが、楽しんでもらえた様で嬉しいです！ (2019年1月2日 18時) (レス) id: 7f1a5ac1a8 (このIDを非表示/違反報告)
らなのMonO(プロフ) - 三橋が可愛いすぎて辛かったですww青春って感じがして面白かったです！ (2019年1月1日 12時) (レス) id: dce8680b38 (このIDを非表示/違反報告)
夜 . - Snさん» Snさん、此方も読んでくださってありがとうございます！子ども染みた悪戯をしそうだな、と私自身書いていて楽しかったです笑 未だどのようなモノを新しく書いていくかは未定ですが、参考にさせてもらいます！ (2018年12月30日 13時) (レス) id: 7f1a5ac1a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜 . | 作成日時：2018年12月6日 22時
