妖と祓い師 (ページ7)

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あれから狐は私の前に姿を現していない。

私はいつもと変わらず、任務と稽古を淡々とこなす日々……それに加えて、文献を読む時間を設けたくらいだ。

ー狐ー
妖狐ではあるが、天狐ではない。
尻尾も9本あるが九尾の狐、とも呼ばれない。
祓い師は“狐”と呼んではいるが、ちゃんとした名前があるらしい。永久を生きる狐。
平安後期に初めて確認。以降、狐山から移動していない。
人に化けた姿は180cmを優に超える大男。
緑の和装に赤いマフラー、黒縁眼鏡、狐面に下駄。髪は漆の様、瞳は青みがかった黒。

古い文献にも、この様に私が知っているような情報しかない。

何より、この痣に関しては一文字も記述がない。焼こうかとも考えたが、妖気の気配も実害も、今のところはないためそのままだ。

そしてもう一つ謎なのが、どうして私の屋敷が割れたのか。
初めて会ったのが任務の日。そして、次の日朝一番で本家に壺を届けたから、あいつの妖気はこの屋敷に入っていない。それなのに……