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『狐』
狐「なに?」
『此の体勢どうにかしろ。離せ』
狐「嫌や。逃げるやんか」
『……逃げな「はい嘘」…………』
二度目の狐の尾の中。しかも今度は狐の膝上に横抱きで座らされた。
この世で一番嫌いな男は永遠と決めているから、そこまで嫌ではないが、祓い師としては屈辱的だ。
狐「いつも遠くから俺のこと見てるだけやないすか。たまには近くでお話でもどうかなって」
『そんな妖気だだ漏れの、怒りを顕にした妖と会話なんぞできるか』
狐「……すまん」
『なにに謝ってるんだ……』
ますますよくわからない狐だ。そんなに話したいか?天敵の祓い師と?
じたばた藻掻くとぎゅうっと拘束が強められた。勝てそうにないし、危害も加えてくる様子もないので大人しくしておく。
狐「今日の昼のあの行事、いつから参加してます?」
『7歳からだ』
狐「…………次はいつ」
『2ヶ月後。それを聞いて何になる。お前には関係な「関係しかないわ!俺はッ……」』
何かを言いかけて口を噤んでしまった。下唇を噛んで、更に怒りが高まったのか、妖気の濃度が増す。前の息苦しい感字も相まって、寒い……
狐「っ、すまん」
すぐに妖気を収め、狐火を私のそばに浮かべた。温かく、眠りを誘う。
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作者名:まほらば | 作成日時:2022年9月13日 9時