妖と祓い師 (ページ12)

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最近は来るのがわかっているからか、隠しの術に亀裂のような、穴のようなものが作られている。

自力でこじ開けるにも、この場所以外は綻び一つないため、用意されたここを使うしかないのだ。西華院で最も強力な力をもつらしい私だが、狐には勝てない。

札を貼って、一人分の隙間を開け、境内内に入ると、いつもより濃い妖気。何かに怒っているのか、抑えが効かないのか。面倒だな……

まっすぐ最短距離で屋敷のそばにたどり着くと、いつもと様子が少し違った。

キツネは1匹もおらず、庭に面した部屋の障子は開け放され、狐が1人、目を閉じて座っている。向かいには座布団が一つ。

狐「来たか」

いつもより青い瞳が私を捉える。かなり距離を取っているはずなのに、場所が一発でバレた。

もしかして、私に怒っている？

狐「こっちおいで。ちょっと話をしましょう」

こっち……というのは座布団のことだろうか。

妖気だけで人を殺してしまいそうな妖の前に誰が行くか。今日は帰るのが吉だな。

狐「どこ行くん？帰さんぞ」

箒を翻したところではたき落とされ、落下する私。

前にもこんなことあったなぁと、呑気に考えながら、またふわふわした何かに包まれた。