【ky】最終兵器と白銀少女【実/況/者】 (ページ23)

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21話　一人でページ23

『キヨ、外に行ってきてもいい…?』

熱心にパソコンをいじっているキヨにそう聞いてみると、一瞬固まってから、意外な返事が返ってきた。

ky「…うん。でも、気をつけてな?俺がついてったほうがいい?」

『!…ううん、大丈夫』

ky「そっか。あんま遠く行くなよ」

『うん。行ってきます』

ky「行ってらっしゃい」

…止められると思ったけど、そうでもなかった。

そういうものなのかな…

少し不思議に思いながらも、上着のポケットにハンカチだけ入れて、玄関から外に出た。

『寒い…』

思わず少し身震いする。

家の中とは違った新鮮な空気が身に染みた。

久しぶりだ…

『…一人でも平気だもん』

そう、今回外に来た目的は、一人での外出に慣れること。

行き先は特に決めずに、近場を散歩してみることにした。

人に慣れなきゃいけないと思いながらも、なんとなく人が居なさそうな方へ歩いてしまう。

そうしていると、いつかの公園に差し掛かった。

あの雨の日以来だ…

小さい公園なだけあって、相変わらず人がいない。

…と、思いきや、角で男の子がうずくまっているのが見えた。

『あ…』

泣いてる…

怪我、それとも迷子…?

どうしようかといろいろ考えて…

『大丈夫…?』

気がついたら、声を掛けていた。

「…!!」

ああ、すごく驚かれてる…

「…おねえちゃん、誰…?」

『えっと…私は、偶然通り掛かって…』

私のことを不審そうに見つめる目から視線を反らすと、男の子の膝が赤く滲んでいるのが目に入った。

『…怪我、してるの…?』

「ん…転んだ…」

『そっか…ちょっと待ってて』

「…?」

水道…水道…あった。

ハンカチを水で濡らして、男の子の膝に当てる。

『痛い…?』

「…ううん」

『よかった。ちょっとだけ我慢してね』

汚れを拭き取って、違う面にして後ろで結んで…

『…できた。これで大丈夫』

「わ…」

応急手当てだけど、これで出血は抑えられるはず。

父さんから教えてもらった、簡易の包帯の作り方だ。

こんなところで役に立つとは思わなかったけど、これで一安心…

「おねえちゃんすごい…!!」

『え…!?』

「お医者さんみたい!かっこいい!!」

『え、えっと…』

「僕にもやりかた教えて!」

『…!うん、いいよ』

「やった!」

男の子の眼差しが眩しい。

そうか…私は、血の力に頼ったりするんじゃなくて、こんな形で人に喜ばれたいんだ。

「お医者さん」…

その言葉が、やけに心に響いた気がした。