コウモリ傘【灰谷竜胆】 (ページ20)

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【変わった日常】ページ20

あれから一週間──。
日常がガラリと変わった。それはそれは変化が大きかった。
まず、スマホを取られた。現状、おかげで家族含め誰にも連絡ができない。この一週間、絶賛無断欠勤中だ。

翌日には服なんかの生活に必要な物が運び込まれて、竜胆さんと一緒に暮らす事になる。今は、お兄さんが来たとき用の部屋を使わせてもらっていた。

そして……。

「今日は一緒に寝るだろ！」

「寝ません！」

「なんでだよ！」

ここに来てから竜胆さんのスキンシップがすごい。家にいた時とは別人だ。
人ん家で自分家さながらに「まだいたのかよ」と言っていた竜胆さんはどこに行ってしまったのか。

一日の終わり。日課になってしまったソファの上での就寝の攻防──。

この一週間の攻防を通して、少しだけ竜胆さんがわかった気がする。ちゃんと話してみると気さくで、攻防戦でも「わかった……」となんだかんだ折れてくれる竜胆さんはすごくいい人だ。

「おやすみなさい、竜胆さん」

「ん、おやすみ」

リビングの明かりを落として、それぞれに部屋の扉を閉めた。広い部屋。明かりを落としてベッドに潜り込む。明かりの落ちた部屋は、目を開けても閉じても景色は変わらない。お部屋は真っ闇(くら)闇の闇。

手足を投げても投げっぱなしでどこにも届かないベッドは、先行きみたいだ。

どう……なるんだろ──。

7日目が終わる。
期間限定のこの生活がいつまで続くのかはわからない。けれど、誰かにおやすみが言えて、おはようが言える生活。誰かを迎える生活。そんな生活に絆され始めている自分がいた。