検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:27,308 hit

【これは……】 ページ14

(A視点)


「──!」


気がついたら、どこかの部屋に手足を拘束されて寝かされていた。ローテーブルには、ビールの空き缶や高そうなお酒の瓶、アイスペール、ウイスキーグラス。どう見ても飲み会現場だ。


「これは……」


一人でロードショーを見ながら飲む予定だった私への嫌がらせなのか。もそもそ、と動いて体を起こす。手を前側に縛ってくれたのは、不幸中の幸い。


「起きた?」


「!」


ガチャリ──。扉が開いて入ってきたのは、気を失う前に道で会ったお兄さん。ゆるいスタイルの部屋着に着替えていても、喉元の入れ墨はカチッとしてそこにある。


「竜胆助けたの、お前?」


「え……?」


「ありがとな」


屈んで、よしよしと頭を撫でる大きな手。
普通の──生活感がある部屋というシチュエーションも相まって、妙に安心してしまった。


「竜胆さん、元気ですか?」


「ん。助かったっつってた。けど、かわいそ」


ニコッと笑って、突き付けられたのは、重くて冷たい鉄の塊。他人事のような台詞。


「関わんなけりゃもうちょっと長生きできたのになぁ」


銃だ──。スパイ映画や刑事ものなんかでしか見たことがない。指一つで、命を取り上げる事ができる黒い鉄の塊が額に押し付けられていた。


「大人しく、お散歩行くか」


ここでは、殺さないということなんだろうか。怖い──。声を、出すことができない。


目の前の彼と一緒に外に出たら、お散歩コースの終着点は山か海だ。


「まだ……」


死にたくない。そう言おうと口を開いたら後ろからすごい力で引っ張られて、ガシッと首と頭をホールドされる。ヘッドロック──。


お酒の匂い、すごい……。

【これは……2】→←【おかえり】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
205人がお気に入り
設定タグ:灰谷竜胆 , 灰谷蘭 , 梵天
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はいず | 作成日時:2022年7月31日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。