逃げても逃げても何度でも

【Predator】 ページ29

マンションに連れ戻されると乱暴にベッドに投げられる。


投げたのは竜胆で、起き上がる隙きなんて与えず、両手首にしっかりと体重をかけて体を抑え込まれた。



「竜胆…離し、！い"ッ…あ"ぁ…」


手加減なしにガブリと首筋に噛みつかれて痛みに目の前がチカチカする。


「嫌だ…！」


「あーあ、火に油だな」


ソファからこちらを見ている蘭が何か言っているが与えられるジクジクとした痛みに神経が集まっているため、それどころではない。


袖を捲られ、舌が腕を伝ったかと思えば、またガブリと噛まれた。


「い"…痛い」


「…俺も痛てぇわ」


「！」


そう言った竜胆の表情は、相変わらず怒っているが、どこか傷ついているようにも見えた。


「ごめ「寝かせると思うなよ？」


「りんどー、独り占めしていいっつってねぇぞー」


「あ゛？」

ベッドが沈んで、天井と竜胆だった視界に蘭も映る。


一番見たくない光景


「A、蘭ちゃんも怒ってる♡」


「ひっ！」


最悪だ…


口元に笑みを湛えているが、笑っていない冷やかな瞳。


溶かされてしまうのではないかと思うほどにギラギラと熱を宿した瞳。



捕食される事がわかっているのに動けない体。


三拍子。蛇に睨まれた蛙…いや、まな板の上の鯉の気持ちとは、こんな感じなのだろうか。


どうにかしたいのにどうにもできない。


私は、逃げ出した事に後悔しながら、襲ってくるおかしくなりそうな程の快楽と痛みに身を委ねるしかなかった。

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