逃げても逃げても何度でも

【Investigate the cause】 ページ11

日向ちゃんの葬儀が終わって少し。私達は、拘置所の龍宮寺くんに会いに来ていた。


淡々と事実を告げられ驚いている花垣くんと扉の傍でそれを見守る私達。


ふと龍宮寺くんがこちらを見る。ばっちりと目が合うと穏やかに笑った。


「久しぶりだな」




「龍宮寺くん…」




「急にいなくなっちまって皆驚いてたんだ。けど、元気そうでよかった」




あの頃より大人びた声音とあの頃と変わらない優しい眼差し。



彼は、ガラスの向こう側なのに、まるで頭を撫でられているみたいで、ひどく安心した。



「Aはすごいねー」



「頑張ったな」




優しく頭を撫でられる一方で、照れくさそうに目を逸らされたまま、ぎこちなくぽすんと頭に置かれる手。



私は、褒められたのが嬉しくて、もう小4だというのに、小さい子のようにキラキラと目を輝かせていた。



「りんどーロボットみてぇ！」



「やり慣れてないからしょうがないだろ！」



懐かしくて温かい記憶が蘇ってくる。


けれど、それはすぐに面会時間終了を知らせるブザー音に消された。


「気ぃつけて帰れよ」




龍宮寺くんは、付き添いの警官に扉の向こうへ戻される。
私達も拘置所を出るために入口に向かった。



まずは参番隊の隊長になる！




帰りの通路で、気合十分に意気込んだ花垣くん。



一先ず落ち着いて！


今すれ違った人、突然叫んだからすっごい肩ビクってなってたよ。


「…」


「？」


「あ？直人、どうしたんだ？」


「いえ、なんでもありません」


立ち止まって後ろを振り返る直人くんと倣って立ち止まる私達。



まるでアヒルの行進のように、ぴったり全員同じ格好で同じ方向を向いている。



花垣くんだけ、不思議そうな顔で首傾げてるけど…。




行きましょう。と促されて、私達は、また歩き出した。

【Be chased】→←【First facts】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す