29話 ページ50
落ち着かなくてそわそわと歩き回ってしまうボクとは裏腹にベンチに腰掛け入り口にかけられているカーテンを落ち着いて見つめているリンクが忌々しい。
血がついた服を洗うためにも、とりあえず服を脱いでもらって施術をするので出て行ってくださいと男であるボクたちは部屋から追い出されてしまった。
「はい。できましたよ。
……うちの村の子どもたちを助けてくださって本当にありがとうございました。
セツゲンオオカミにあんな小さな子が噛まれていたらもう今後空は飛べなかったでしょう。」
「もうそんなに謝らないでください！
…それに、すみません、わたしこそ不甲斐なくて…」
そう頭を下げる影と、立ち上がって両手を振る影が見えてボクは思わず目隠しにかけられたカーテンをおしやろうとする。が、リンクに羽交い締めにされて進めない。
『もう終わったのかい？！傷の具合はどうなんだ！
おい！離せよ！！！！』
「………うるさいですよ！
すみませんリンクさま、もう着替え終わってるので大丈夫ですよ。」
と、カーテンの間からリトの羽毛服に身を包んだAがひょっこりと顔を出した。泣きはらして赤くなった目元に胸のあたりがギュッと苦しくなる。抱きしめてやりたくなるが、その権利はボクにはない。
ごめん。と口を開こうとしたら横からリンクが割り込んできて言い損ねる。
「…大丈夫？」
「はい。さっきはびっくりして泣いちゃったんですけど実際はそんなに深くなかったみたいです。」
そういって微笑むAをみたらなんでかさらに胸が苦しくなって、そんな2人の間にさらに割り込むように肩を入れた。
『本当にごめん。2人を守ってくれてありがとう。
……….…これからは離れないよ。
ボクが君を護るから。』
「……………やっ、やだなぁ、大袈裟ですってば！！」
Aの肩を掴んでそういうと、彼女はしばらく唖然としていたが、みるみる顔を赤くして慌てて俯いた。
女の子の体に傷をつけるなんてあり得ないことをした。
僕が傷つけたも同然だろう。彼女がリト族だったら責任を取って籍を入れることになっていたと思う。
…でも彼女とならば別に………、
そこまで考えて、また姫さんの話を思い出した。
"最近では子どもを望めなくても、種族を超えて愛を育むカップルが増えてきています"
ふと思う。
ボクがこの男と張り合っているうちにAに感じてきているこの感情は、果たして本当に友情なのだろうか。
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おれんじ(プロフ) - リンクの口調もこだわりのひとつなので、そう言っていただけてとても嬉しいです…！！こちらこそ、素敵なコメントありがとうございます！たくさん読んでやってください(^^) (2022年8月17日 7時) (
レス) id: 6890ebcbdc (このIDを非表示/違反報告)
ナツメグ - リンクの口調がすごくしっくりきてめちゃくちゃ感動しました…！ゲームの中で喋っていないのに何故かとてもしっくりきたし、他のキャラクターの口調もゲームそのまんまで、テンションがすごく上がりました…！素晴らしい作品をありがとうございます！ (2022年8月14日 1時) (レス) @page14 id: 0329e434ac (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - 七竈さん» 嬉しいコメントありがとうございます！(^^)脳内再生嬉しいです！みんなとお喋りするつもりで楽しんでいってください(^^) (2022年5月10日 20時) (レス) id: 6890ebcbdc (このIDを非表示/違反報告)
七竈(プロフ) - キャラの口調がそのまま過ぎてキャラの声での脳内再生余裕で感動しました！ストーリーに惹き込まれてすっっっごく面白いです！！ (2022年5月10日 15時) (レス) @page50 id: 7180261b9c (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - まいまいさん» いやぁぁあ！めちゃくちゃ嬉しいです！読んでやってくださいませ！ (2021年3月19日 19時) (レス) id: 752c78450e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ | 作成日時：2020年8月30日 0時
