14話(前編) ページ23
雪が月の明かりを反射して明るい。
『うわぁ〜、きもちぃ〜……最高ですねぇ…』
「だろ…、リト族は他の種族と比べて温泉にはあまり好んで入らないんだけど、僕はなんか好きでさ…」
『…なんか今日めちゃくちゃいい日なんですけど…
リーバルさま、明日になっても私とこんなふうにお話してくれますか〜….』
「…そんなのこっちのセリフだよ…こんなに話しやすいなら最初からあんなにおどおどしないでくれる…？」
二人並んで月を見上げながらそんな話をしていたら、ぽんっと何かを開ける音に続いて、とくとくとくと何かを注ぐ音が聞こえた。
腕にひんやりした感触を感じてみやると、リーバルがおちょこを当てていた。
「リト族が飲むとびきりいい酒だよ。」
これまでの期間がなんだったのか分からなくなるほどの優しい笑顔と声で差し出される。
「正直なところ、いままで君を見ると胸がむかむかして、嫌な気持ちになってしまって…
全部僕の身勝手だったと思うよ。
悪かったね。」
『……リーバルさま……………、
…でも、酒はいいです。』
ズコーっという効果音が聞こえてきそうなほどガクッとしたリーバルに片手でおちょこを突き返す。
「いやいや！ここは受け取るところでしょ！！！」
『いや、私未成年なんで、まだお酒飲まないんで。
お家で飲んでも外では飲まないんで。』
「ミセイネン？なんだいそれは。
ボクの酒が飲めないっていうわけ？！」
『あーあーそういうのパワハラっていうんですよ、知ってます〜？』
ていうか身勝手ってリンク様に対してもじゃ無いですかと付け足すと、リーバルは心底不満そうな顔をする。と、おちょこの酒をぐいっと飲み干した。
『お、いい飲みっぷりですね〜！注ぎますよ。』
「……はぁ、キミと仲良くなりたかったのになぁ。」
『う"…』
諦めたように肩を落としたフリをしているが、わたしのことを上目遣いで見やるリーバルは私が取ろうとしたボトルをサッと横から奪い、さらに注いだ。
湯から出ている胸から上の部分がひんやり冷たい。
『…はいはい、分かりましたよ。
……一杯だけですよ。』
「そうこなくっちゃ！はいはい。」
嬉々としてリーバルが私にお猪口を手渡して、私は渋々それを受け取った。
一口含んでみて、甘みがあることに驚く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おれんじ(プロフ) - リンクの口調もこだわりのひとつなので、そう言っていただけてとても嬉しいです…！！こちらこそ、素敵なコメントありがとうございます！たくさん読んでやってください(^^) (2022年8月17日 7時) (
レス) id: 6890ebcbdc (このIDを非表示/違反報告)
ナツメグ - リンクの口調がすごくしっくりきてめちゃくちゃ感動しました…！ゲームの中で喋っていないのに何故かとてもしっくりきたし、他のキャラクターの口調もゲームそのまんまで、テンションがすごく上がりました…！素晴らしい作品をありがとうございます！ (2022年8月14日 1時) (レス) @page14 id: 0329e434ac (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - 七竈さん» 嬉しいコメントありがとうございます！(^^)脳内再生嬉しいです！みんなとお喋りするつもりで楽しんでいってください(^^) (2022年5月10日 20時) (レス) id: 6890ebcbdc (このIDを非表示/違反報告)
七竈(プロフ) - キャラの口調がそのまま過ぎてキャラの声での脳内再生余裕で感動しました！ストーリーに惹き込まれてすっっっごく面白いです！！ (2022年5月10日 15時) (レス) @page50 id: 7180261b9c (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - まいまいさん» いやぁぁあ！めちゃくちゃ嬉しいです！読んでやってくださいませ！ (2021年3月19日 19時) (レス) id: 752c78450e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おれんじ | 作成日時：2020年8月30日 0時
