12話 ページ21
『うわぁぁあ……！すっごーい！！！』
下に見える山々は月明かりに照らされてキラキラと輝いている。山の中では屋根の先っぽも見れなかったハイラル城が空からならこんなにくっきりとみえる。
「ちょっと、落ちたらどうするつもりだい？
はしゃぐのもわかるけどもうちょっとじっとしててくれよ…。」
リーバルにそうたしなめられるも感動を抑え込むことができない。そういうリーバルだって私の反応を見てきっと喜んでいるんだろう。その証拠に、ただリト族の村に帰るだけならこんなに登らなくてもいいだろうというくらいに高いところを彼は飛んでいる。
リーバルの背に半ば無理やり乗せられた私だったが、むしろ今では降りたくなくなってきている。
布越しに感じるリーバルの体温と、顔を流れる氷水のような空気が心地いい。
『いいなぁ、リト族ってこんなに気持ちいいこと知ってるんですね』
「…ふふん、これだけじゃ無いさ…
舌を噛まないように気をつけなよ！」
『えっ？！ちょっっ』
褒められて気を良くしたのか顔こそ見えないが、リーバルは機嫌良さそうにそういって思い切り体を傾けた。
そしてそのまま勢いよく二人で急降下し始める。
急激に浮遊感が私の体を襲った。
『きゃあぁあああああ！！！！』
これでもかというくらいリーバルの背中にしがみついて思わず目を瞑ってしまう。
冷たい風が私の体とリーバルの体の隙間という隙間に入り込んで皮膚が凍ってしまいそうなのに、体の中はぐつぐつとたぎるようにあつい。
と、ばんっと宙に放り出されて私は雪の中に深く沈み込んだ。
遅れて隣にリーバルがさらに深く沈み込む。
誰にも踏まれなかった雪はふかふかで全然痛く無い。
「……ふっ、ふはっ、あはははははは！」
こちらに顔を向けたリーバルがそう大きい声で笑うので、私もなんだかおかしくなってゲラゲラと笑いが止まらなくなる。
相変わらず体中は冷えてじんじん痛いが、こころの奥はあったかい感じ。こっちにきてから久しぶりにそんな気持ちになる。
まさか彼がそんな気持ちにしてくれるなんて思ってもみなかった。
ひとしきり笑い転げた後、リーバルがふぅ〜、と自分を落ち着かせるように息をついて起き上がった。
手を差し伸べてグッと起こしてくれる。
「ほら、ついたよ。」
気が付けば私たちはリトの村からかなり遠く離れたところまで来ていた。
『…え、ここって…』
凍えそうな雪山の中、ふよふよと湯気を出しているのは温泉だった。
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おれんじ(プロフ) - リンクの口調もこだわりのひとつなので、そう言っていただけてとても嬉しいです…！！こちらこそ、素敵なコメントありがとうございます！たくさん読んでやってください(^^) (2022年8月17日 7時) (
レス) id: 6890ebcbdc (このIDを非表示/違反報告)
ナツメグ - リンクの口調がすごくしっくりきてめちゃくちゃ感動しました…！ゲームの中で喋っていないのに何故かとてもしっくりきたし、他のキャラクターの口調もゲームそのまんまで、テンションがすごく上がりました…！素晴らしい作品をありがとうございます！ (2022年8月14日 1時) (レス) @page14 id: 0329e434ac (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - 七竈さん» 嬉しいコメントありがとうございます！(^^)脳内再生嬉しいです！みんなとお喋りするつもりで楽しんでいってください(^^) (2022年5月10日 20時) (レス) id: 6890ebcbdc (このIDを非表示/違反報告)
七竈(プロフ) - キャラの口調がそのまま過ぎてキャラの声での脳内再生余裕で感動しました！ストーリーに惹き込まれてすっっっごく面白いです！！ (2022年5月10日 15時) (レス) @page50 id: 7180261b9c (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - まいまいさん» いやぁぁあ！めちゃくちゃ嬉しいです！読んでやってくださいませ！ (2021年3月19日 19時) (レス) id: 752c78450e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ | 作成日時：2020年8月30日 0時
