あの日僕等は II

事故 ページ28

JSサイド


JR「父が手術を受けている間に警察の方から、路面凍結でスリップした車が信号待ちをしていた歩行者の中に突っ込んでいったと聞きました。

打ち合わせのために外出していた父は、客先が近くにあったことから珍しく歩いて移動していたと、その後会社の方から教えていただきました。

ニュースにもなったので、恐らく知っている方もいるかもしれませんが…」

「…うろ覚えだけど間違ってなければ、乗用車の運転手は重傷を負うも命に別状はなく、交差点にいた歩行者のうち1名重体、重症者3名とかじゃなかったかな…？」

何となくだが記憶にあるニュースで、現場が事務所からそれほど遠くなかったような気がする。
宿舎から向かっている時にサイレンの音がかなり鳴り響いていて、その日のニュースで確かこの事故が原因だったと知ったんだ。


そっか、ジュリのお父さんが合った事故はこれだったんだね…


JR「その日はかなり冷え込んでいて、昼を過ぎても気温が中々上がらなかった程でした。

雪こそ降らないものの、前日の夜に少しだけ降った雨がところどころ残って氷になっていたようです。

走る車の異変に最初に気づいた女性の叫び声で、父は迷う暇なく一番前にいた少年の腕をひき場所を入れ替わる形で抱き抱えて、背中から車にぶつかったそうです。



父が運ばれた知らせを聞き、何も考えることができず気づけば走っていました。
タクシーは事故の影響で交通規制のためつかまえられず、ジュアンオッパに手を引かれて漸くたどり着いた病院で、父の容態の悪さを知りました。

頭を強く打っていること、全身に衝撃を受けかなりのダメージを負っていることが伝えられ、急かされるままに手術の同意書を書きました。

途中警察の方が来ましたが、私は話を聞くこともできない状態だったので全てオッパが対応してくれました。




目覚めない父について何日たったかもわからず、合間合間でオッパやハオ、代表がお見舞いに来てくれる中、父が庇った少年が訪ねてきました。


それがユヌです。」

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