あの日僕等は II

感謝 ページ26

WZサイド


「は…？」
HS「おれ…？」

急に出てきた自分たちの名前に混乱していると、ジュリがフワッと優しく微笑んだ。

JR「最後に案内された練習室にお二人がいました。
迷惑にならないようにそれ程長い時間は見ていなかったので、恐らくどなたも気づいていなかったかと思います。

あの時、同年齢くらいに思えたお二人が真剣に、でもどこか楽しそうに踊る姿を見て決めたんです。


ここで、頑張ってみようって。
私も誰かにとって希望を与える存在になりたい、と。
なので、今私がここにいるのはあの日のお二人がいたからこそなんです。


ありがとうございます」


恐らく見学に来た時期は、彼女の動画がきっかけとなりスニョンとの関係が改善されたころだ。

あの日以来、それまで話さなかったことが嘘のようにいろんな話(その最中に某アニメの歌の話になり、ここ数年で1番興奮した)をした。
練習が終わればお互いにわからないことを教え合ったし、自主練も気が済むまで付き合って、一触即発ともなりそうだ俺たちが急に仲良くなったことにスンチョリヒョンが驚くほどだった。

明るいムードメーカーに見えてたアイツも、2人でいると落ち着いた性格になって、どうもこっちが素なんだと気づいて(本人曰く人見知りを通り越して武装するとああなるらしい)爆笑した記憶がある。


練習生は楽しいことばかりではなかった。

やったことが中々評価されなかったり、自分の目指しているレベルに届かないもどかしさや周りとの差に心が折れてしまいそうになることも、色々あった。





それでも、アイツがいたから


いつも隣で誰よりも真面目に、必死に食らいつくアイツがいてくれたから


今日まで俺も頑張れてきたんだ。



「…感謝するのは、俺の方だ。

　 ありがとう」




得難い友を手に入れるきっかけをくれて




…絶対に本人には言わないけどな。

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