女神 ページ43
DA「ジュリの今日の衣装は女神のイメージよ。デビューの時はどちらかと言えば男性的な衣装を用意したけど、今回は真逆の女性的な衣装で話題を攫いましょう」
白のように見えて光に透けると青味がかるオフショルダーのドレス。
余計な装飾はついていなくて、背中が編み上げになって前は膝上、後ろ側はふくらはぎまでのドレープになっている。
「本当に素敵…私で着こなせるかな」
何回かあった取材も全てパンツで受けていたから、初めてのスタイルに心配になる。
DA「私が選んだんだから、似合わないわけないわ。
ほら、早く着替えてしまいなさい」
隅にあるカーテンに囲まれたスペースに押し込まれて、「そろそろあの2人戻ってくるだろうから3分ね」と有無を言わさず衣装を渡される。
言われた3分以内に急いで着替え始める。
繊細な生地を傷つけないように気をつけながら着てみると、思った以上に着心地が良くてビックリした。
「オンニー、出来ました」
カーテンを開けてオンニを呼ぶとまさかの目の前に立っていて、クルリと私を一周まわすと満足気に頷いた。
DA「流石私。本物の女神より綺麗だわ」
背中のサイズ調整をして貰って鏡の前に連れていかれる。
DA「今日のコンセプトはね、天界でしか生きられない女神がどうしても人間と生きて行きたくて、葛藤しながら自分の道を歩き始めるの。周りに流されず、思うがままに生きることを決める、貴女は強い女神になるの」
ボブの長さしかない髪を綺麗に首の後ろでまとめて、銀の細い鎖が何本も連なるチョーカーを付ける。
DA「メイクは時間ないから本番前でいいわ。さ、靴はこれを履いて」
白い華奢なヒールを渡され言われるがままに足を通して、そっと立ち上がる。
YN「ひゅー、ジュリきれい！」
JA「ちょっと！いいじゃないのー！」
いつのまにか戻ってきた2人が手放しで褒めてくれて、綺麗すぎる衣装に怖気付いていたのが嘘のように心が軽くなった。
DA「衣装から考えてヒールにしちゃったけど、どう？」
「うーん…大丈夫そう。サイズもぴったりだから痛くもないです」
その場でジャンプしたり少しだけ踊ってみたけど、思いの外ヒールが自分に合っているようで問題なさそうだ。
JA「さて、そろそろリハの時間だからスタジオ行くわよ！ジュリは上になんか羽織んなさい」
なんかと言いながら自分のジャケットを差し出してくれたので有り難く羽織ってスタジオに向かった。
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作者名：にゃしろ | 作成日時：2021年2月1日 21時
