私のヒーロー ページ34
ハオに連れ出されて、少し離れたところにあるソファーに並んで腰掛ける。
細い身体に似合わない大きな手が背中をさすり頭を撫でてくれて、漸く呼吸ができた気がした。
「ごめんね、ハオ。もう大丈夫」
MH『まだ震えてるよ。リアン、前にも言ったし何度も伝えてるけどね、僕には遠慮しても本心は違うことなんてお見通しなんだから、強がらないの』
久しぶりに聴く東北訛りの中国語に思わずハオの顔を見た。
MH『いい?リアンのことはすぐにわかるんだから、ダメならダメ、無理なら無理って素直に言って。隠された方が心配になるんだよ』
『…ハオは私のこと何でもわかっちゃうものね?』
一緒にレッスンしていた頃、人知れず捻った足も寝不足からくる頭痛も、なんならお腹が空いた時だって誰も気づかなくてもハオだけは気づいた。
一緒に過ごした時間は誰よりも少なかったのに、何も言わなくても理解してくれて、そしてそっと手を差し伸べてくれたのは彼だけだった。
『…あの日』
MH『うん?』
『あの日、ハオが気づいてくれなかったら、私、生きていられなかった』
思わずそう溢すと間に置いてあった手が優しく握り締められた。
『ハオ、ハオは私のヒーローね』
くるくる頭で可愛いなんて言われているけど、彼は私にとっては世界一かっこいいヒーローだ。
あの日も、これからも
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作者名:にゃしろ | 作成日時:2021年2月1日 21時