練習室の蜃気楼 ページ3
DKサイド
遅れて練習室に入ったスングァンの少しばかり曇った表情に何があったのかと考える。
たかだか同じ建物内の事務所と練習室の行き来の間にどんな問題があったんだろう。
HS「やー、スングァナ遅かったじゃないか！」
一足先に汗をかいたホシヒョンが音楽を止めながら鏡越しにスングァンを見た。
なんだかんだ言ってヒョンも心配してるみたいだ。
SG「すみません、ヒョン。事務所の前でヨヌヒョンに会ったんだけど、何か事務所に入れてくれなくて」
まあ提出分は渡したんでいいんですけどね！とちょっと笑っておどけてるけど
JH「スングァンなんかしたの？」
「閉め出されたってこと？」
まさかこの距離で本当に問題が起きるなんて思ってもなかったけど、どういうこと？
SG「いえ、ヒョンも怒ってる感じじゃなく、なんて言うか、今ここに僕を入れるのはマズイんだけど理由を言えないから困ったなーみたいな？」
MG「なんか美味しいもの頼んだからオマエに見つかるのイヤだったんじゃないww」
SG「キムミンギュブッ飛ばす」
いつもの調子で走り始めた2人を横目にシュアヒョンは気にかかる様で、自分の周りに95sがいつのまにか集合してる。
JS「でも、実際なにがあったんだろうね？スンチョル、何か聞いてる？」
SC「今日だろ？何も聞いてないけどなあ」
JH「怒られたわけじゃないんだし、一旦後にしたら？必要なら後で教えてくれるんじゃない？」
ジョンハニヒョンは面倒なのかパーカーの紐を弄りながら僕の脇腹をつついてくる。
地味にくすぐったいからやめてほしくて徐々に離れるけど隣のシュアヒョンにぶつかって逃げられない。
JS「まあ、僕たちで考えてもわかんないから仕方ないね。ほらスンチョル練習するよ」
SC「やー、そうやって俺がサボってるみたいに言うなよなー！」
「ヒョン、ちょっともうお腹つつかないでww」
JH「ドギョマもくねくねしてないでしっかりしろよなー」
「ヒョンがお腹つつくからじゃないかー！あー、ホントこのヒョンたちはー」
いつの間かホシヒョンも加わっていた追いかけっこを中断させて練習に入る。
デビューはできたけど、まだまだ僕たちは新人で頑張らないといけないんだ。
もっとステージを良いものにするために、兎に角今は練習に集中！
少し寒い練習室が熱気で曇ってくる頃にはスングァンの話なんてすっかり忘れてて
だから
開いた扉の先
とうとう蜃気楼が見えるまでになったのかなんて
そんなわけないのに
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作者名：にゃしろ | 作成日時：2021年2月1日 21時
