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「や、やめろ花道!!流川!!」
血を流しながら必死に言う宮城の声は、2人には届いていないようだった。花道が折ったモップを床に投げ捨てる。
「ハッハッハッもう覚悟は固まったみてーだなてめーら!!今日がバスケ部最後の日だ!!」
「うるせーーー!!ゴマカすつってんだろ女男!!それよりまずその汚ねークツをぬぎやがれ!!」
嬉しそうに笑う三井に、桜木は食って掛かる。
流川は、三井らが汚したボールを三井に差し出し、「ふけ」と言い放った。
言われたとおりに三井がするはずもなく、ボールにペッとツバを吐いた。
「ブッ殺…ぬ!?」
その瞬間、堪忍袋の緒が切れた桜木が飛びかかろうとするのを、小柄な青年が抱きついて止める。
「なんだヤス!?放せ!!放せ!!」
ヤスと呼ばれた青年は、自分より遥かに体格のいい桜木を放そうとしなかった。
「桜木君!!」
晴子が叫ぶと、桜木の動きがピクリと止まる。
「やめて…ダメよ…。」
「ハ…ハルコさん…。」
桜木が暴れるのをやめたところに、ヤスと呼ばれた青年は桜木の前に入り三井と正面から対峙する。
「な、なんだお前は?」
「た…頼むから帰ってください…お願いします!試合が近いんです。今年はいい新人も入ったし。リョータも戻ったし。もしかしたらいけるかもしれないんです、全国に…。今出場停止になったら…。」
「安田…」
安田はそう俯いて言った。
「桜木君もやめて…!!流川君も。」
晴子はそう言い、安田は頭を下げた。
「お願いです、帰ってください。お願いします。」
「お前…見かけによらず勇気あるな。」
三井にそう言われ、顔を上げる安田だったが、無防備な状態をグーで殴られてしまう。
罪のないバスケ部員たちが血を流す様子に、九井はこみ上げる怒りを抑えられなくなっていた。
三井にボールを投げ、睨みつける流川。
「るっ流川君ダメやめて!!」
「赤木さん出ちゃだめ…!」
晴子が流川を止めようとするも、流川の耳にも入っていない様子であった。晴子が巻き込まれたら危ないと止める九井。
「許さん」
「あ?」
そのときだった。
ガッ
竜と呼ばれていた男が桜木が折ったモップを拾い、流川の頭を2発殴りつけ、立て続けに2発鳩尾を殴る。
頭から大量の血を流しながらも立っている流川に、「タフだな」と声をかける竜。
次の瞬間、流川は竜の鳩尾を殴り返した。
「どあほうが。」
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作者名:宮永 | 作成日時:2023年7月18日 15時