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「くっくっくっ、お前のとこの連中、お前よりやる気あんじゃねーのか宮城?」
三井はそう言うと、持っていたバスケットボールを蹴り、宮城の腹へと当てる。
「ぐっ!!」
「ああっ!!」
あまりに痛そうな光景に、晴子も思わず声をあげる。
九井も眉を顰め、彼らを睨みつけることしかできずにいた。
「おい竜…あいつはお前にやるよ」
三井に竜と呼ばれた男は、流川に向かいちょいちょいと人差し指で挑発した。
「おいほかの部員は関係ねーだろ!!やめろ!!」
必死に止めようとする宮城だったが、不良男に頭を捕まれ、ニヤリと笑った三井に、顔面に頭突きを食らわされた。
体育館に、赤い血が流れる。
三井は立て続けに宮城の顔面をグーで殴る。
「コラてめー女男!!」
「よせ花道!!」
割って入る桜木を、またも止めようとする宮城。
「フッフッフッ…そーだよな宮城。」
三井は笑う。
「自分のせーで出場停止とかくらっちゃあ、イヤだもんな宮城。体育館でバスケ部員が暴力事件。バレりゃあ公式戦出場停止…ヘタすりゃ廃部ってこともあるよな。」
三井の言葉に部員たちもざわつく。
そうか…この男たちはそれが狙いだったのか…。
何もすることのできない九井は悔しくなり、拳を握りしめる。
「折れねーなお前の歯ァ…あーーー手がいてえ。」
「三井」
タンクトップの男が三井に、先程まで1年がかけていたモップを手渡す。
棒の方で殴ろうとする三井に、ちがう反対、とモップの金属側を指差した。
「ここで。」
「……!!」
あんな鋭利なもので叩かれたら、無事じゃいられないだろう…皆が一斉に息を呑んだ。
「なるほど。」
三井がニヤリと笑い、モップを振り上げる。
誰もが絶望し、やめろ!と声を上げることしかできなかった、その時だった。
パシッ
桜木がモップを掴み、流川と呼ばれた男が宮城の頭を掴んでいた不良の手を掴んだ。
「たいがいにせいコラ!!」
「なんだ…バレてもいいのかお前ら、廃部だぞ。」
脅す三井に対して、桜木は闘志むき出しで向かい合う。
「うるせーそんなもん…ゴマカす!!」
「モミ消す!」
桜木はモップをへし折り、流川も三井を睨んで言った。
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作者名:宮永 | 作成日時:2023年7月18日 15時