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「おい…土足であがらないでくれ、靴を…」
「木暮さん」
眼鏡の青年を、宮城が宥める。
「オレたちもまぜろよ宮城、ん?」
ワンレンの男が首を傾けると、彼の髪がサラリと揺れる。
その男は許せない行為をしているのに、彼の声がどこか聞き覚えのある気がして、思わず耳を傾けてしまった。
ひときわ体格のいいタンクトップ姿の男が、タバコを吸って吸い殻を床へと落とす。
その瞬間、コラァ!と声をあげたのは桜木だった。
「花道!」
宮城が花道を抑えようとする。
宮城と問題を起こしたという不良たちと、最近まで不良真っ只中だった桜木。
闘争が起きてしまったら…と考えると、血の気が引く思いだった。
「サクラギ。」
「なにすんだてめー。」
タバコの男と桜木が睨み合う。
「練習中なんだ!ほかの部員もいるしやめてくれ三井サン。頼む…。」
桜木を抑えながら懸命に説得しようとする宮城。
「ほかの部員か…自分はボコボコにされてもいいからバスケ部だけは…か?宮城。くせーぞ」
少し恰幅のいい黒髪リーゼントの男が笑うも、いや…それもやめてくれ、と宮城が言う。
「あ?」
「また入院するわけにはいかない。頼むからひきあげさせてくれ三井サン。…ここら大切な場所なんだ。」
そう言う宮城に、部員たちも息を呑んだ。
そうだ…もうすぐIH予選があるはず。怪我や問題を起こしちゃいられない…。
ひきあげてくれるのを期待するも、そうはいきそうになかった。
「バカかお前は。オレはな、それをブッ壊しに来たんだよ。」
ワンレンの男…三井はそう言ってタンクトップの男に、ボールへタバコを押し付けさせる。
「ああっ!!なっなにすんだてめーらァ!!」
血の気の多い花道を、またも宮城が懸命に抑えようとしていた。
「ブッ壊してやるよ。」
三井はそう笑い、タンクトップの男はタバコを床に投げた。
その瞬間、三井の顔面目かげてボールが飛んでくる。
三井はそれを避け、後ろにいたリーゼントの男に当たる。
「徳ちゃん!!」
徳ちゃんと呼ばれた男はそのまま床に倒れた。
誰が投げたんだ、と誰もが振り返ると、黒髪で整った顔たちの長身の男が立っていた。
「ちっ、外れた…」
「流川!!」
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作者名:宮永 | 作成日時:2023年7月18日 15時