【スラムダンク】ありがとう、みっちゃん【夢小説】【三井寿】 (ページ30)

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花形とのリバウンド対決を制した桜木だったが、藤真のスティールを躱した肘が花形に直撃してしまい、桜木は4つ目のファウルをとられてしまったのだった。

眼鏡が割れた花形だったが、交代することなくコートに立ち続けた。

そんな彼の強さは観客をも味方につけ、翔陽はまた流れを掴んでいった。

4ファウルでディフェンスに消極的になってしまう桜木に、翔陽の高さを生かしたオフェンス。

残り5分の時点で、58-46と、湘北は12点差を追いかける形にまでなってしまっていた。

観客の誰もが翔陽で決まりか…そう思い始めていた。

九井は、肩で息をする三井を直視できずにいた。

眉間にシワを寄せ目を瞑り、大きく顔を俯かせた。

＿＿お願い、お願い…！……みっちゃん…！！

九井がバッと顔を上げると、一瞬、三井と目が合った…ような気がした。

三井にボールが渡りシュートフォームに入ると、ディフェンスのファウルによって床に倒れ込んだ。

「ッ…！！」

九井は思わず腰を上げた。

視線の先には、ゆっくりと起き上がろうとする三井が映った。

桜木が手を差し伸べるが、三井はそれを跳ねのける。

「そうだった…MVPをとった時もそうだったはずだ……こういう展開でこそ、オレは燃える男だったはずだ…！」

なんとか聞こえる距離から届いたその声を聞き、九井は涙が込み上げて来るのを堪え、下唇を噛みそっと席に腰掛けた。

「九井ちゃん…」

「A、大丈夫？」

両隣の藤井と松井に心配の声をかけられる。

「ごめんね、もう大丈夫だと思うよ。…三井さんは。」

そう笑い、フリースローを難なく決める彼を見据えていた。

フリースローは3本ともリングに吸い込まれ、点差は3点縮まり残り9点差となった。

「さすがグレてたとはいえ元スーパースター！」

「でも時間がねぇっ！残り4分半！」

「9点差はどう見ても厳しい！」

桜木軍団らも必死になり空になったペットボトルをガンガンと打ち付ける。

「がんばって湘北！勝てば決勝リーグよ！」

晴子を声をあげる中、九井は必死に涙を堪えていた。

翔陽のオフェンス、じっくり一本との指示が出る中だった。

「さがるな！あたるぞ！」

ハーフラインに戻ろうとする湘北メンツに三井はそう呼びかけた。

三井はもう限界のはずだった。しかし、誰よりも勝ちを諦めていなかった…。

九井は堪えきれず、ふぐっ…と声を上げ涙を零した。

滲む視界で、三井のディフェンスはあまり見えなかった。