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ボールがコート外に出て、タイマーが止まるとブザーが鳴り、翔陽のメンバーチェンジが告げられた。
「うおおおおーーーっ!!!」
「藤真!藤真!藤真!」
翔陽の観客席がどよめき、盛り上がる。
コート内に入ってきた藤真は、翔陽選手らの尻を叩いて激励した。
「行くぞォ!!」
声を張り上げる藤真は、ペネトレイトからのジャンプシュートを目にも止まらぬ速さで決めてしまった。
湘北のリードは一瞬で取り戻されてしまった。
「湘北はベスト4にはまだ早い!!さあ来い!!」
そう叫んだ藤真の活躍により、翔陽は再び湘北から点差を離していった。
残り10分、6点差を追う湘北はタイムアウトをとった。
タイムアウト中も、翔陽観客席からはフジマコールが止まなかった。
「すげえ応エンだな!」
「藤真ってのはスターだなこりゃ」
大楠と高宮も応援に驚いているようだった。
「ガンバレ湘北!!」
「がっ、頑張れ…!湘北…!」
晴子、藤井らは湘北に声をかけていた。
九井は、ベンチに座る三井に視線を送っていた。
試合再開のフエが鳴り、ようやく三井は腰を上げた。
足取りは重く、ヨロヨロとコートに戻る三井から目を離せない九井だった。
ペットボトルをがぶ飲みする桜木軍団をよそに、九井は拳を握りしめていた。
湘北のオフェンス、赤木にボールが渡るとトリプルチームで圧をかけてくる。
「三井!!」
高さと圧のあるディフェンスに攻めあぐねた赤木は、外の三井へとパスを出した。
「おう!!」
「スリーポイントだっ!!」
赤木に3枚もディフェンスがついていた…三井はフリーだと思われたが、三井のスリーポイントシュートは6番にブロックされてしまった。
「…ボックスワンだ。」
「え?」
「ボックスワンディフェンス。4人がゾーンディフェンスで守る中、6番の彼だけがみっ…三井さんをマンツーマンで守ってるの。」
九井は松井にそう説明した。
_ずっとマークがつき続けるということは、スリーのチャンスも減るし、振り切るのにも体力を使う…。
__前半で5点…6番の言うとおりになんてならないよ!頑張れ…負けないで、みっちゃん…ッ!!
九井は心の中で叫びながら、湘北のオフェンスを見守る。
三井は、マークが外れていないまま強引にシュートを打った。
いつもの三井のシュートとは裏腹に、綺麗とは言えない崩れたフォームだった。
ボールはリングに弾かれてしまうが、リバウンド対決を制したのは桜木だった。
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作者名:宮永 | 作成日時:2023年7月18日 15時