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「なめるな花形ァ!」
「三井!!」
三井が中に切り込み、花形の目の前でジャンプシュートを放った。
「おお!!」
花形が大きく後ろへ倒れ込んだ。
三井のシュートは入ったが、オフェンスチャージングを取られノーカウントとなってしまった。
「なにっ!!」
「身体が流れていたとはいえ、たぶんわざと倒れたよね…」
「そんなすげーことやってんのかあの眼鏡のにーちゃん」
九井と水戸らは、眉をしかめて息を呑んだ。
そこから試合は目まぐるしく進んでいった。
高さを活かした翔陽のディフェンスに苦しみ、オフェンスでも着実に点を重ねられ、前半残り30秒の頃には22-31と9点差をつけられていた。
「ジリジリ離されていく…」
「ガンバレ!がんばって湘北!!」
晴子らも焦りを隠せなくなってきていた。
「ここ一本、止めるのと取られるのでは大きく意味が変わってくる…。ただでさえ藤真さんがまだベンチだというのに、前半で10点開けられてしまったら…」
九井は目を細めた。
_みっちゃんも相当疲れてる…なんとしてでも、1桁差で終わらないと…!
「ディーフェンス!ディーフェンス!」
ベンチと一丸となって必死に声を出す。
花形にボールが周り、彼得意のフェイダウェイシュートを放つ。
赤木がブロックに跳び、執念でボールに触れた。
「リバウンドぉ!!」
湘北随一高さがある赤木がブロックに跳んでしまっては、高さのある翔陽に対してリバウンドは絶望的とも思われたが…
1人、翔陽の高さを掻い潜り誰よりも高く跳んでいた男がいた。
「桜木君!!」
「リバウンド王桜木!!」
桜木のボールを奪取し、前半終了のブザーが鳴り響いた。
前半のスコア22-31…9点差のまま後半戦を迎えることとなった。
「桜木君…!!すごい…!」
「…すごい……」
興奮した様子の晴子と裏腹に、九井は軽く言葉を失っていた。
センタープレイ経験のある九井だからこそ、桜木のリバウンドにシビれた。
「っ………赤木さん、桜木君のことホメに行こう。」
立ち上がって九井はそう言う。
「そうね…!ホントにすごいわ桜木君!はやくいかないと!」
「あ、タオルとか何か置いていかないと席とられちゃうから…」
「さすが、A抜かりないわね…」
松井に呆れられながら、席に荷物をおいて桜木の元へと向かった。
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作者名:宮永 | 作成日時:2023年7月18日 15時