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試合開始10分前
先にコートに姿を表したのは湘北高校だった。
湘北の快進撃に観客たちも動揺しているのか、あーでもないこーでもないと数多の声援が飛び交う。
桜木軍団らは、桜木の連続退場を茶化して桜木に憤怒されていた。
晴子が桜木に声援を向ける中、九井は三井だけを見つめていた。
三井は眉間にシワを寄せ、動きもどこかぎこちなくすこし緊張しているような様子だった。
ワァッと会場が盛り上がったと思うと、相手チームの翔陽がコートに出てきたところだった。
コートに一礼して入ってきた選手らは、とにかくデカかった。
バスケにおける身長の重要性を痛いほど理解している九井は、思わず喉をゴクリと鳴らしてしまうほどだった。
「おっあれは陵南!」
「ボス猿だ!」
大楠と高宮がそういい観客席の後ろを振り返って見る。
つられて九井も振り返ると、陵南のジャージを着た選手たちの前に、海南のジャージを着た選手たちが立ちはだかっていた。
海南のジャージを目にした九井は、振り返るのをやめた。
今見たことを忘れようと首を振り、ウォームアップする湘北に目を向けたのだった。
試合開始1分前
スターティングメンバーが安西の指示を仰いでいた。
赤木、桜木、流川、宮城、そして三井…。
「おお〜〜〜!!花道スタメンじゃねえか〜〜!!」
「勝負を投げたか湘北ーー!?」
「バカモノ!実力的に当然だ!この天才桜木!」
桜木軍団に茶化され、桜木はフン、と彼らを睨みつけた。
「ああなんかドキドキしてきた…これに勝てばついにベスト4…決勝リーグ進出なのよね……」
「うん…がんばれ……」
晴子と九井は、湘北のメンバーをまっすぐに見つめてそう言った。
試合開始を告げるホイッスルが鳴り、各チームがセンターサークルに整列した。
翔陽のメンバーは高さが凄まじく、168cmの宮城が傍から子供に見えてしまうほどだった。
翔陽の応援席から、選手のコールが聞こえる。やけに統率の取れた歓声が耳に残った。
三井が翔陽の6番になにか言っているのは九井からも見えたが、何も言っているかまでは歓声に邪魔されてしまいわからなかった。
あんまり煽ってないといいけど…と不安を抱える九井であった。
「それでは翔陽高校対湘北高校の試合を始めます!」
「しゃす!!」
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作者名:宮永 | 作成日時:2023年7月18日 15時