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対翔陽戦の日の朝。
九井は会場が開くと同時に他の観客を押しのけて入場し、観客席の湘北ベンチ側最前列にタオルなどを置き場所を陣取った。
試合が始まる頃になると、晴子ら3人や桜木軍団も姿を現した。
右から松井 九井 藤井 晴子 水戸 高宮 大楠 野間 の順で横一列で座った。
「九井ちゃんさすがだわ！場所取りありがとうね〜！」
「ううん、気にしないで！クセになっちゃってるようなものだから！」
礼を言う晴子に、首を振る九井。
「ヨッ！体育会系！」
桜木軍団の高宮がそう茶化した。
「あはは…翔陽の部員たちの席取りのほうがすごかったよ。大勢で横断幕とかタオルとかでバァーって…」
そう九井が言うと、観客席にいる翔陽の部員の1人がひときわ大きい声で叫ぶ。
「インターハイへーー行くのはーーー誰だーーーー！？」
彼が耳を済ませるようなポーズをすると、観客席の大勢の部員が一斉に叫びだした。
「翔陽！翔陽！翔陽！」
「おお！？」
桜木軍団たちも、面食らった様子だった。
「湘北と翔陽！似たような名前だが！勝つのはどっちだーーーー！？」
「翔陽！翔陽！翔陽！」
と同じ流れで会場のボルテージを上げる翔陽の部員たち。
「ベンチ入りできないメンバーがあんなにいるのよ翔陽は」
そう晴子が言うと、高宮も思わず「スゲエな」と言う。
「湘北は？」
「全員ベンチ入り…」
水戸が聞くと、晴子は小さな声で答えた。
「ここまでかな…」
そう言う水戸だったが、九井は諦めが悪かった。
「そんなことないよ！湘北の勢いすごいし、シード校破っちゃうかも！それに…」
「それに？」
松井が聞くと、九井は恥ずかしそうに俯いた。
「ミッチーがいるから、かな？」
水戸のその発言に、九井はみるみる顔を赤くした。
「お？」
「あら〜…」
高宮や松井もニヤニヤと九井を見つめる。
「前から聞きたかったんだけど、三井さんとAはどういう関係なわけよ。」
そう松井が言うと、晴子が「私も気になる！」と目を輝かせ、藤井も静かに頷いていた。
「そっ、それは…」
九井は俯いたまま口を開く。
「それは…？？」
3人が口を揃えて言い、桜木軍団もニヤニヤした顔で見つめている。
「む、昔！お世話になったの！すごく、変わっててびっくりしたけど…！」
顔を上げそう言った九井に、なんだつまらん…と天を仰いだ桜木軍団たちだった。
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作者名：宮永 | 作成日時：2023年7月18日 15時
