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思い詰めたような表情の三井は、何も言い返すことなく、水戸の顔をがあ！と殴り返す。
「殺されなきゃわからねーのか。」
そう冷たい目で言い放つ水戸を見て、鳥肌が立った。
…このままだと、本当に死んでしまうかもしれない。
止めないと、水戸くんを止めないと…みっちゃんが…。
心ではそう思っていても、足が動かなかった。
三井が折れてくれれば済むかもしれない…しかし、当の三井は、息を切らしながら「ぶっつぶしてやる…！」と叫んでいた。
再び三井を殴る水戸だったが、水戸の肩をス…と後ろから木暮が叩いた。
「もういいよ…もういい。…もういいだろ…。」
そう木暮に見据えられ、三井の眉間に深いシワが刻まれる。
「ど……どいてろォ！」
三井が木暮の顔をはたき、木暮の眼鏡が飛んでいった。
「大人になれよ…三井…！！」
そう言う木暮の言葉に、驚いたような宮城と、思い詰めたような顔をする三井。
九井は、唇を噛んでボロボロになっていく三井を見つめていた。
「逃げろっ！！」
タンクトップの男を倒していた桜木から逃げようとした不良男が体育館のドアを開けると、そこには九井ですら見上げるほどの巨漢の男が立っていた。
「赤木……」
再び体育館を締め切り、彼は歩き出す。
「赤木のダンナ…全てオレの責任…」
「黙ってろ宮城。」
赤木、と呼ばれた男は聞いていた赤木の兄であるキャプテンなのであろう。
誰よりも体格のいい彼は、迷うことなく三井へまっすぐ向かっていった。
「あ…赤木！！も…もうひきあげるから！！な！赤木……君！赤木君！な！」
三井の不良グループのリーゼント男が赤木にそう言うが、赤木は「靴を脱げ。」と一蹴した。
慌てて靴を脱ぐ不良らを気にも止めず、赤木は三井に向き直った。
「三井……。」
バチン
バチン
赤木が三井に往復ビンタをかます。
「三井は…バスケ部なんだ。」
木暮のその言葉に、え…とざわめく部員たち。
九井の目に再び涙が滲んできて、視界が歪んだ。
「ウ…ウソじゃなくて？本当に？メガネ君」
「三井サン…本当なのか……？」
そう問う桜木宮城に対し、木暮はゆっくりと口を開いた。
「オレたちの学年でバスケットをしていて、武石中の三井を知らない奴はいなかったよ…」
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作者名：宮永 | 作成日時：2023年7月18日 15時
