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心に空いた穴と期待 ページ3

「病院、?ていうか…あなた、誰ですか…?」


俺は今までで最も大きいであろう衝撃を受けた。きっともうこれ以上の衝撃を生涯受けることはないだろう。それもそのはず驚きで10秒は固まってしまったほどである。
正直今すぐにでも問い詰めたいが、それどころではないだろう。切れる頭をなんとか回転させておぼつかない足取りで医者を呼んだ。







「記憶喪失…ですね…。」
「そう、ですよね…」
俺も山本さんの今の状態に当てはまるのは記憶喪失しか知らない。
今は山本さんのいない別室にいるのだが、さっき病室で色々と質問されていた様子から見て、自分の名前や年齢、常識的なこと以外は全て忘れているようだった。
勿論俺のことも、メンバーのことも、だ。そんなドラマや漫画のようなこと無いだろう、そう思うが、実際に目の前で起きてしまっているのだからどうしようもない。


「何でもいいんです。何かをきっかけに、記憶が戻るということは十分にありえますし、実例もあります。特別なことはしなくていいんです。普段通りに過ごしてもらえるように、お伝えしてもらえますか?毎日通ってらっしゃられているので、お知り合いですよね。写真や思い出の物なども効果的かと。体に異常などはないようなので、あと数日で退院しても大丈夫です。」

「は、はい。分かりました…」
分かりやすく丁寧に教えてもらっているが、それすらも俺の頭には入ってこなかった。ぽっかり、心の中に穴が空いたような。でも、それでいて、頭の中はぐるぐると混乱でいっぱいで。自分でも、良くわからなかった。

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作者名:ハル | 作成日時:2021年2月10日 20時

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