１５０ 波乱 ページ50
白膠木は見れぬ壁見の表情に思いをはせる。照れているだろうか、嫌そうだろうか、恐怖におびえているだろうか。
頭の中に無数の可能性が浮かび上がる。ボーっと考えていれば、
白膠木「？！」
壁見の腕が背中に回される。これでちゃんと抱き合っている形になった。白膠木はすこし上ずった声を出す。動揺している。
白膠木「え、っとー時雨ー？」
声をかけても反応がない。すこし焦りが出てくる。
白膠木「時雨さーん？」
声をかけても返事がない。白膠木は覚悟を決めた。
白膠木「目、閉じてよ？」
すこし体制を変えて壁見の顔を見る。きちんと目を閉じていた。表情から感情は読み取れない。白膠木は諦めてもう一度額を肩にこすりつける。腕は互いに回されたままだ。
そして数分がたった。
白膠木「おーしもういい。じゃ、俺は戻るね？買い物終わったらちゃんと帰ってね？あったかくして寝てねー」
到底敵とは思えない言葉を残して去って行く白膠木。彼の足音が離れていく。完全に聞こえなくなった。それでも保険で目は閉じている。そして十秒ほどたった今、ようやく壁見は目を開けた。
視界に入る光に目をしかめる。
壁見「買い物、行かなきゃ・・・」
予定より遅くなってしまった。帰って来たのは予定よりも二十分も遅かった。
翌日
三年の教室ではクラスメイトが携帯を持って天喰に駆け寄る。
「なぁ、お前が好きなのって一年の壁見さんだったよな？」
天喰「すっ！・・・ま、まぁ・・・」
「あー・・・それってこの子・・・？」
クラスメイトから差し出されたスマートフォン。そこには
天喰「え・・・」
白衣の男と抱き合っている壁見の姿だった。壁見は目を閉じており、男の背にしっかりと両の腕を回していた。
「なぁ天喰、壁見さん彼氏いるんじゃ・・・でもこれってどう見ても大人だよな？」
「大学生か？こっちからは顔とか見えなかったもんな」
クラスメイトの会話が頭に入ってこなかった。なぜなら天喰にはこの男に心当たりがあったからだ。
最愛の幼馴染、初恋相手。そんな少女を囲っていた犯罪者。
今も付きまとい将来攫って行くと馬鹿のようなことを言い残している最低最悪の男。
天喰「白膠木・・・宿・・・」
「え？今なんかいった、って天喰！？」
クラスメイトには天喰がつぶやいた言葉が聞こえていなかったようだ。天喰はクラスメイトの携帯を持ったまま１年Ａ組の教室へと走って行った。
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安良岡(プロフ) - やえさん» コメントありがとうございます。そうです！彼はかっこいいんです！それを理解してくれる人が増えて私も嬉しいです。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。これからも頑張ります。 (2020年1月12日 20時) (
レス) id: de63d941bc (このIDを非表示/違反報告)
やえ(プロフ) - コメント失礼します。 とても面白くて、一気読みしてしまいました。この作品を読ませてもらって、エッジショット様のかっこよさに気づかせてもらいました。 本当にありがとうございます！ これからも、更新楽しみしています。 頑張って下さい！！ (2020年1月11日 12時) (レス) id: 983d46899e (このIDを非表示/違反報告)
安良岡(プロフ) - 希羅アイラさん» いっそのこと振り切ろうと思っていたので笑っていただけてとても嬉しいです。応援ありがとうございます。あまり待たせないようにこれからも更新頑張ります (2019年12月24日 13時) (レス) id: de63d941bc (このIDを非表示/違反報告)
安良岡(プロフ) - ザジさん» 嬉しいと言っていただけて私もとても嬉しいです。これからもまだ絡みはあるので応援にこたえるために頑張ります！ (2019年12月24日 13時) (レス) id: de63d941bc (このIDを非表示/違反報告)
希羅アイラ - 凄い…本当に凄いです…！（語彙力の喪失）環くん好きなので求婚は笑いましたw 壁見ちゃんも作者さんも応援しています！いくらでも待ちますので更新がんばってください！ (2019年12月16日 11時) (レス) id: 8d048d79ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安良岡 | 作成日時：2019年10月13日 22時
