１１８ 異常性 ページ18
あれはにいさんじゃない。絶対に違う。自分になんとか言い聞かせてどうにか保っていました。でもあれを見られることも彼の計算通りだったのです。
次の日に会った私がぎこちない笑みを浮かべるのを見てとても嬉しそうに笑っていました。彼の部屋には私がはいってはいけないといわれていた部屋があるんです。当時の私はその約束も当然のように守っていました。目線を合わせるようにしゃがみ込んで、
「今日はあの部屋に連れて行ってあげる。」
幼いながらに次は私なんだと思いました。ずっとずっと善意で優しかったんじゃない。いつか殺すために警戒を解いていただけなんだと思いました。怖くて怖くてたまらなかった。でも断ったらなにされるかもわからない。もっとひどい事をされるかもしれない。未知の方が何倍も怖かった。
手を引かれいつものマンションのいつもの部屋へと向かいました。廊下よこにある鍵付きの部屋。ガチャガチャと三つの鍵が外されて扉がギィと開きました。
中はひどかった。床はタイルで壁はコンクリートが打ちっ放しになっていました。所々に血が飛んでいて鉄臭かった。銀色に鈍く光った医療器具も含まれたのこぎりや鉈といった刃物が所狭しと並んでいました。手術台のような物もあって上には強い明りがありました。でも一番異様で異質だったのは奥の棚に所狭しと並んだ眼球がはいった瓶です。ホルマリン漬けでしょうか？詳しくは分からないんですが一つの瓶に二つづつ入っていてその瓶がざっと７、８０は超えていたと思います。
両肩に手を置かれて言われました。
「ちょうど緑が欲しかったんだ。ストックが少なくてね。」
完全に物として見ていました。欲しいから手に入れる。そのためには確実なアプローチをとる。それで行われたのが警戒心を解いて近づく方法。あの人は目的のためなら手段は問わない。時間や労力も惜しまない。手に入れたいから確実に取れる方法をとっただけ。
メスを手渡されました。
「俺だと思って持ってて。」
最初は意味が分からなかった。今でも真意はよめない。ただ確実に言えるのは私に先がないことだけです。
「奇麗だから、かわいいから。もっと奇麗な物を見てきて、いっぱい楽しんできて。人生を楽しんでおいて、謳歌しておいで。そしてその奇麗になって目で俺をみて。その目を俺にちょうだい？遠い未来で俺に攫われて。」
確実にお先が真っ暗だと悟りました。
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安良岡(プロフ) - やえさん» コメントありがとうございます。そうです！彼はかっこいいんです！それを理解してくれる人が増えて私も嬉しいです。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。これからも頑張ります。 (2020年1月12日 20時) (
レス) id: de63d941bc (このIDを非表示/違反報告)
やえ(プロフ) - コメント失礼します。 とても面白くて、一気読みしてしまいました。この作品を読ませてもらって、エッジショット様のかっこよさに気づかせてもらいました。 本当にありがとうございます！ これからも、更新楽しみしています。 頑張って下さい！！ (2020年1月11日 12時) (レス) id: 983d46899e (このIDを非表示/違反報告)
安良岡(プロフ) - 希羅アイラさん» いっそのこと振り切ろうと思っていたので笑っていただけてとても嬉しいです。応援ありがとうございます。あまり待たせないようにこれからも更新頑張ります (2019年12月24日 13時) (レス) id: de63d941bc (このIDを非表示/違反報告)
安良岡(プロフ) - ザジさん» 嬉しいと言っていただけて私もとても嬉しいです。これからもまだ絡みはあるので応援にこたえるために頑張ります！ (2019年12月24日 13時) (レス) id: de63d941bc (このIDを非表示/違反報告)
希羅アイラ - 凄い…本当に凄いです…！（語彙力の喪失）環くん好きなので求婚は笑いましたw 壁見ちゃんも作者さんも応援しています！いくらでも待ちますので更新がんばってください！ (2019年12月16日 11時) (レス) id: 8d048d79ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安良岡 | 作成日時：2019年10月13日 22時
