7 炎 ページ7
予備の回線に切り替わり映るのは謎の黒い人影。その類が別段苦手ではない鶴崎はへーぐらいの気持ちだったが次の場面でその顔色は急変した。
燃えているのだ。真っ赤に。ごうごうと。
思い出されるのは二人のお城が燃え行く様。そして振り返る一人の少女。手を握り、体を寄せて、抱き合って、そして飛び降りた。
きらきら ぽろぽろ
真っ赤な炎。
鶴崎「っ・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・・。」
浅い呼吸を少し繰り返しながら、アタッシュケースをぎゅっとさらに強く抱きしめる。ついている青とピンクのマカロンのフェイクスイーツストラップがゆるりと揺れた。椅子の上に三角座りになるように体制を変え、額をアタッシュケースにこすりつける。瞳をぐっと閉じ、呼吸を整え始める。
少女の息は小さいため誰も気づかない。ただ、三つ横にいた鬼ヶ崎様にはその横顔が見えた。
罪悪感に苛まれているような、ひどく思いつめたような表情だった。
そしてゲームは幕を閉じた。
スカートの裾をはらい、整え、アタッシュケースを持ち直す。ホルスターをスカートの上から確認してシアタールームから出て行った。すると海亀が走ってきた。汗を流し、息を必死に整えている。
海亀「わるい、遅れた。」
鶴崎「いや早すぎるって。」
海亀「火・・・大丈夫だったか?」
鶴崎「見てないから平気だよ。・・・いやちょこっと見えちゃったけど。」
海亀「そうか・・・。なら、いいのか?」
入出を除く三人も帰ってきた。
パカ「入出様は医務室でございます。皆様お夕食とでも行きますか。」
パカ先頭で食堂へと向かっていった。わりとすぐに入出は帰ってきた。入院着のような物を着た彼は染色体をツンツンとつついていた。
少し離れた席に鶴崎と海亀は向かい合うように座り夕食を食べていた。鶴崎の隣の席にはアタッシュケースが置かれており、海亀は苦笑いをした。彼女は気づいていないがよく無意識に人を拒絶する。現に彼女の後ろでは路々森がどうやって行こうかと夕飯片手に考え込んでいた。
海亀「隣、誰か来るかもだぞ?」
それとなくアシストしてみようと声を掛ければ、
鶴崎「え?他にもあんなに席あいてるのにわざわざ人に荷物どけさせる奴とかいるの?」
バッサリと言い切った。そ、そうだなと返し路々森を見れば片手であちゃーのポーズをとっていた。本当にすいませんと心の中で謝り目の前のハンバーグ定食をつまみ始めた。すると今度は
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作者名:安良岡 | 作成日時:2019年7月28日 14時