愛しき共犯者様へ (ページ48)

今日:23 hit、昨日:7 hit、合計:51,362 hit

４８　昼寝ページ48

忍霧は鶴崎の自室の扉の前でかれこれ十分止まっている。海亀にちょっと見てきてくれと言われ来たはいいものの、八歳の鶴崎は完全に女子扱いなので多少の抵抗がある。それに先程からノックをしているのに一向に出てきてくれない。やはり海亀でなければだめだったのだろうかと思いながらなんとなく扉を引いてみると玄関に真っ白なシーツに包まったまま眠る鶴崎がいた。

ザクロ「なっ・・・！」

鶴崎「ん・・・ミウちゃん、帰って来たの・・・早かったね・・・誰？」

眠りから覚め目の前に知らない男がいたらそりゃあそうなるだろう。幼少期は人見知りとかしない子だったらしいがこの時期は赤松と海外逃亡前の時期なため他人を怖がっているらしい。ずるずるとシーツを引きずりながら下がっていく鶴崎。

ザクロ「え、えっと忍霧、ザクロだ。ザクロ。」

鶴崎「・・・ザクロくん・・・確かいた・・・。」

どうやら記憶にはいたようだ。ほっと胸をなでおろし、

ザクロ「海亀から様子を見てきてくれと。昼寝の時間だそうだ。その後に風呂に入るといっていたが、こっちにこないか？」

鶴崎「・・・。」

じーっと見つめてくる鶴崎。その瞳には警戒心と疑惑。海亀の事は海亀の事だと一応思っているらしいが彼女も気づいているだろう。モールス信号ぐらいで判断していいのかと。しかし彼女をつなぎとめるのはこの部屋だ。あきらかにマンションを再現しているらしく、彼曰く茶碗とかも二人分あったらしい。

鶴崎「いかない。お風呂はミウちゃんと入るの。私もうミウちゃんの旦那さんだもん。他の人と入ったら浮気ってやつになっちゃうんでしょ？」

シーツに包まりながらそういう鶴崎。彼女がこの前言っていた事に当てはめるならお風呂に一緒に入る＝好きな人と、という事になるのだろう。なら仕方がないなと諦め鶴崎の頭を見る。そこには大きなつぼみがあり、もうすぐ咲きそうというところだった。そして忍霧はここで好奇心に負けた。

ザクロ「ミウちゃんはどんな人なんだ？」

好きな人の好きな人が気になる。誰にだってあるはずだ。その問いかけに何故という顔をしていたが赤松の事を話せるという珍しい経験に鶴崎自身も興味があるようだ。

鶴崎「いいよ。じゃあこっち。」

そういって忍霧の手を握り、廊下奥の扉に誘導する。驚いた忍霧だったがなんとか耐えた。扉が開いた先はリビングのような場所だった。ソファにテーブル、テレビと向こうにはキッチンとダイニングテーブルがあった。
　