愛しき共犯者様へ (ページ38)

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３８　流血ありページ38

苦悶の声が少女の口からこぼれ出る。

そしてそこから地獄が始まった。

　

鶴崎は左腕から血を流し、三節棍を持った右手で流れ出るのを抑えるように握りしめながら駆ける。血を垂れ流しながら、荒い息を吐きだしながら、表情を苦痛にゆがめながら。彼女が走った後には血が転々と落ちている。

必死に痛みを堪えながらも走る鶴崎。しかし、左足を踏み出した瞬間ガコンと底のタイルの部分だけが抜け落ちた。咄嗟に足を素早く動かし落ちないように右を上げて別の場所に置こうとしたその瞬間、

海亀「駄目だ！！」

グサッ！

鶴崎「あああああぁぁぁあああぁぁぁああ！！！！？？！！」

海亀の大切な少女の悲痛な叫び声が響き渡った。彼女が踏み出した右足。その下に突如針の山が生み出されたのだ。それも大きな。その一本に彼女の足が突き刺さった。

鶴崎「あ、あああぁぁああ？！う、うぅ・・・！！はぁはぁ・・・。」

足を引き抜き、肩で息をする鶴崎。それでもなお必死に進もうとする。刀を腰にさし、三節棍も腰にかけた。ガコンという音と共に巨大な丸い岩が転がってくる。必死に進もうとする鶴崎の目の前から勢いよく鉄球が二つ飛んでくる。一つは左肩に。そして一つは右目の上にあたった。切れたようで血が流れている。その間も鶴崎の荒い息と痛みを堪える悲痛な声が海亀しかいないシアタールームに響き渡る。壁からくる巨大なピザカッターのような刃物をしゃがんでかわすとすぐさま隣の壁からもでてくる。それを急いで躱すと次は床から三連続。それを間一髪で躱しながら二手に分かれた道につく。石が転がっていく方と反対側に背をあずけて息を整える。片足には穴が開いており、視界の半分は地に塗れ満足な物ではないのにそれでも走ろうと必死に足を進める。

鶴崎「あっ！！・・・あっう・・あぁ・・・！」

駆堂「なっ・・・！」

ザクロ「鶴崎・・・？」

扉が開いた音にも気づかなかった。海亀の耳を支配するのは鶴崎の苦悶の声、呼吸、時折混じる痛みによる絶叫だけだった。

駆堂「あの糞パカ！！」

ザクロ「海亀変わる！見るな！！」

目を覆い、下を向かせる。その瞬間、

海亀「おぇ・・・おあ、おぇえぇぇ・・・ゲホッごほっ！」

床に向かって吐瀉物をまき散らした。忍霧は海亀の背をさすりながら壁に肩を寄せている鶴崎を見つめる。左腕からは血が流れ、右足からも血が出続けている。右目上からも血は止まっていない。モニターから聞こえるのは彼女の苦悶の声だけだった。