１９ 愛しい人 ページ19
鶴崎「でも人に話すような話じゃ・・・。」
海亀「嫌な部分は省けばいいだろ？ここに居る奴らはお前の過去を知って軽蔑するような奴らじゃねぇよ。」
鶴崎「で、でも・・・周りは・・・変だって言う・・・病気なんかじゃないのに・・・ちゃんと本物だったのに・・・周りの大人は皆指さして「変」だって「君はおかしい」って「可哀そうな子」って言うんだ・・・。」
破れ、ボロボロなスカートの裾をキュッとつかみ俯く鶴崎。海亀は「まだはやかったかな」と考えながら頭をかく。
ユズ「軽蔑なんかしないさ。テンテンにとってその恋は大事な物だったんだろ？ならそれで十分じゃないか。友人の大事な物を軽蔑の対象にするような奴はいないさ。それに僕らは子供だしね。」
海亀「・・・だとさ。どうする？」
鶴崎「戻ってきたら・・・全部話します。・・・瓶入ってるんでアタッシュケースだけ・・・ホルスターと拳銃もおいていっていいですか？」
ユズ「あぁ、大事に保管しておくよ。」
鶴崎「暗号は「カリン・プリン」ですよね。了解です。・・・い、いってきます。」
ユズ「あぁ！いってらっしゃい。」
扉を背に海亀と鶴崎は走り出した。隣で泣きそうになりながらも嬉しそうに笑顔を浮かべる鶴崎を見て海亀はこみあげてきた安堵と喜びの感情を必死に飲み込んだ。
鶴崎「ねぇユウ。久しぶりに「いってきます」なんて言ったよ。」
海亀「そうだな。」
鶴崎「ミウちゃんが言っていたことがよくわかるよ。「ただいまとおかえりがあれば幸せだった。」・・・本当にこれ以上に嬉しい事なんてないのかもね。」
嬉しそうに話をする彼女を見て病室で包帯巻かれた状態でにっこりと微笑む彼女を思い出す。あの時と比べれば全然笑えるようになったのだなと嬉しく思った海亀はくしゃりと鶴崎の頭をなでた。
ある程度一掃したのちに戻るとギャーギャーと騒がしかった。
更屋敷「あ、おかえりなさい！」
鶴崎「！・・・・ただいま。」
ユズ「さぁ！あとは明日のお楽しみ！さぁさぁ、恋バナと行こうじゃないかー！！」
鶴崎「え、今からですか！？」
海亀「男子軍も聞くんですか？」
ユズ「何か問題でも？」
海亀「あー・・・まぁこいつらなら平気か。大丈夫でーす。」
ユズ「よしよし！毛布は引いてあるんだ！雑魚寝で語り合おうじゃないか！！」
鶴崎「これ語るの私だけですよね！？どう見ても！！」
鬼ヶ崎「鶴崎ちゃんサラっと俺ら全員恋人いないていでいったろ。」
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作者名：安良岡 | 作成日時：2019年7月28日 14時
