１７ 事故 ページ17
バンッ！
音を立てて扉が押し開かれた。白い袋に可愛らしいリボンが巻かれたものを右手。左手には三節棍が握りしめられていた。鶴崎自身は結構ボロボロでタイツは所々破けておりスカートの裾も破けていたり土埃を被っていた。扉に体をあずけぼーっとした表情で荒い息を繰り返す彼女をみて海亀が顔を青くした。
海亀「おま、！」
鬼ヶ崎「なんかエ、海亀「カイコクさん黙って！！」・・・でぇ・・・。」
ふらふらとした足取りで動こうとする鶴崎。
ザクロ「ちょ、あんま動かない方が・・・。」
駆け寄ろうとした忍霧。しかし彼の動きも思考も完全に止まった。その理由は単純である。手を貸そうとした忍霧に鶴崎が思いっきり抱きついたからだ。
ザクロ「なっ・・・！！」
咄嗟の事で対応などできずそのまま後ろに倒れる二人。
ユズ「ザッくん！まさか女の子大丈夫に、ザクロ「あ、うぁ・・・え・・・っと・・・」なってないな！うん！！」
ザクロ「つ、鶴崎？無事か？えっと・・・どいて・・・、」
鶴崎「ミ、ミウちゃん・・・。」
ザクロ「？？」
蚊の鳴くような小さな声は忍霧にしか聞こえていないようだった。
ザクロ「(ミウ・・・？)どうした？大丈夫か？？」
女子に対する緊張よりも目の前の一つ上の女性がひどく小さく幼く見えたことに対する不安の方が大きくなった。
鶴崎「・・・痛いのも、怖いのも・・・我慢したの・・・甘いの・・・ちょうだい？」
ザクロ(甘いの・・・？)
海亀「あー・・・落ちたか・・・。わるいなザクロ。」
わきの下に腕を回しグイっと持ち上げ運ぶ海亀。
ユズ「人違いでもしてたのかにゃ？」
海亀「あー・・・まぁこんくらいならいっか・・・恋人？」
更屋敷「彼氏いたんですか！？」
海亀「あー・・・えー・・・っと・・・本人に聞いて―・・・。」
毛布片手にそそくさと逃げる海亀。女性陣は場にそぐわない黄色い声で盛り上がっている。
奥の方に寝かせ毛布をかぶせる。よしよしと頭をなでる。
海亀「頑張ったな・・・。」
寝返りを打った鶴崎がゆるりと嬉しそうに微笑んだのを見て海亀も安心したように微笑んだ。
そしてその少し後に眠っている駆堂を背負った入出がやってきた。海亀は向こうに袋片手に戻った。路々森に袋を手渡し一緒に中身を確認した。小さくなった華と切り飛ばした部分であろうツタがギュッと詰め込まれておりすこしだけ気持ち悪かった。
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作者名：安良岡 | 作成日時：2019年7月28日 14時
