28 片思い ページ28
辻「すいません・・・」
見惚れる。しゃべりかけることも話すことも、傍に立つこともできない。だからこそ、目が離せなくなる。
スコープを覗くその美しい目。彼女の視界に映れるだけで、胸が高鳴る。最後の最後に見るのが彼女の顔ということが、存外、その・・・
辻(悪くないんだ・・・)
あまりにも遠い存在。これこそまさに高嶺の花。重症すぎてある有名な楽曲が脳内BGMに設定されつつある。犬飼とカラオケに行ってその歌を歌ったら「リアルすぎね?なんかガチっぽい」と爆笑された。
つまるところ、辻はこじらせていた。初恋、女性が苦手、一目惚れ、片思いエトセトラ。様々なものが混ざり合った結果。
犬飼「お前超面倒だよなぁ」
転機は急に訪れる。
二宮「辻。お前は今日から鷹宮をあされ」
犬飼「・・・え?!どういうこと!?」
二宮「鷹宮を徹底的にマークしろ。あいつに狙撃する暇を与えるな。追い続けて、追い回して、仕留めろ。生存点を与えるな」
辻「え、えっと・・・」
二宮「訓練、ランク戦、個人の方もだ。全部漁って癖を見抜け。徹底的に追い回して、潰せ」
犬飼「え、えー・・・辻ちゃんには荷が重い気が・・・」
辻「いえ・・・やります」
それから辻はPCに張り付いた。対戦のログをあさり、鳩原の迎えと偽って訓練を覗きに行った経験もある。すべてをあさった。あらゆるログを見直して、動きの癖を見抜いて、
鷹宮「え・・・」
貫いた。
観覧席からどよめきと歓声があがる。追い続け、追い回し、ワープも経由させ、その上で犬飼が仕留めた。撃ちぬいた。驚いたような声をあげ、ベイルアウトとなった鷹宮。犬飼がこちらにかけてきてハイタッチを行った。
ボーダー内でもトップの生存率。高い計算能力で導き出された逃走ルート、隠れるタイミング。その生き残る能力にずば抜けていた彼女が、落ちた。辻がA級ランク戦を始めて、初めてみることだった。目の前で犬飼に撃ち抜かれる彼女。驚いた顔をして、驚いた声をあげて、消えていく。
うまくいった。拳を握って噛みしめる。二宮隊による鷹狩りが幕を開けた。本来鷹狩りとは鷹を用いた狩りを意味するらしいが、ここで意味することは「鷹」宮華乃の狩りだった。王子が彼女をイーグルと言う様に高い狙撃力は狩の名手である鷹のようであると称された。苗字と彼女の狙撃力をもじったその名は、ボーダー内で有名となった。
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安良岡(プロフ) - 髑髏さん» コメントありがとうございます!嬉しいです、これからも更新頑張ります! (2021年5月3日 16時) (レス) id: 9598827ae1 (このIDを非表示/違反報告)
安良岡(プロフ) - 塩昆布さん» コメントありがとうございます。辻君すくないですよね。更新頑張ります! (2021年5月3日 16時) (レス) id: 9598827ae1 (このIDを非表示/違反報告)
髑髏(プロフ) - やばい超好きです。 (2021年5月3日 15時) (レス) id: cc975a844d (このIDを非表示/違反報告)
塩昆布(プロフ) - 辻君の夢小説少ないので大変助かっております……、命が……。更新頑張ってくださいね (2021年2月25日 0時) (レス) id: 8bf39248b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:安良岡 | 作成日時:2021年2月14日 21時