２０話 ページ21
ー焦凍 Sideー
いってらっしゃい、とAに言ってから部屋に戻った俺は、Aのあとを追うように家を出た。
…………そりゃあもちろん、不安だからだよ。
昨日のあのライン、絶対にただ遊ぶだけなわけねえ。
俺は帽子を深くかぶり、Aのあとを歩く。
電車で向かったのは確かに映画館のほうだ。
本当に何もないのだろうか……。
と尾行を続けていると、樹とAが薄暗い路地裏に入っていった。
なんでそんなとこ入るんだ…？
ﾊﾞﾀﾝ、と閉められた扉に耳を当てて中の音を聞こうとした―――――。
ーA Sideー
樹、どうしちゃったの…？
急に押し倒されて、私は今起きている状況が理解できていない。
『い、樹……？』
名前を呼んだ直後、シャツの中に樹の手が滑り込んできた。
『っ！？！？』
樹「…静かにしてよね、誰か来たらどうすんだよ」
そういいながら私の胸を触る。
―――――――気持ち悪い。
『ちょ、樹！どこ触ってんの…』
樹「俺さあ、ずっとAにこういうことしたかったんだよねえ。ねぇ、聞いてる…？」
怖い。
いつもの水色の瞳が怪しく光る。
樹の顔もまともに見れていない私の太ももを、スルっと触ってきた。
『！？』
びっくりして体がはねる。
樹「…はあ、かわいいなあ。俺もAの兄妹だったらよかったのに……。焦凍が羨ましいよまったく…。」
『何…言ってんの？……っ』
樹の手が下着の中まで入りそうになったとき。
ﾄﾞｫｫｫｫｫｫﾝ
と、ドアが蹴破られる音がした。
ー焦凍 Sideー
俺はこのドアを足で蹴っ飛ばした。
さっきから聞いてりゃ、「ずっとこういうことしたかった」だとか「俺もAの兄妹がよかった」とか……。
以前とは少し違うが、確かに樹の様子がおかしいのが分かった。
焦「……なに、してんだ…………？」
『しょっ焦凍！？』
涙目になったAの上に乗っている樹を睨む。
どうみても犯す寸前の様子だ。
樹「……はあ、昨日言ったよね？焦凍…。邪魔しないでって！！」
そういった樹は近くに置いてあったプランターの中の植物を操り、俺目がけてきた。
こいつの個性は植物を操ることができる。
俺の体を縛ると同時に、Aの腕も縛った。
『……！』
焦「A！！」
俺は氷で植物を凍らせ、パキっと砕いた。
焦「氷使え！！」
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作者名：派閥弁当 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年6月11日 1時
