１９話 ページ20
ーA Sideー
朝だ。
今日は樹と映画に行くんだった。
クローゼットから洋服を取り出し、着替えて洗面所に向かった。
焦凍が先に起きていた。
『あ……焦凍おはよ』
顔を洗っていた焦凍に声をかけたら、すぐに顔を拭いてこっちを向いた。
焦「…ああ、おはよう」
焦凍は私のことをじっと見てから、口を開いた。
焦「あ…そういや今日、樹と遊ぶんだったな」
『え、なんで知ってるの？』
確かまだ焦凍には言ってなかったよね。
焦「いや…昨日樹から聞いた。」
『そーなんだ。なんか焦凍は誘っちゃダメだって言われてたから知らないのかと。』
焦凍は目を見開いた。驚いてるのかな。
『どうしたの？』
焦「いや…なんでもない」
そっか…。
焦「今日どこに行くんだ」
『え？ああ。映画だよ。』
１０時に駅前で約束してるんだ、と伝えると焦凍は「わかった」と言った。
リビングに行くとまだ誰もいなかった。
お父さんも姉さんも帰ってきてなかったんだな……。
私は焦凍と自分の分の朝ごはんを作り、テーブルに並べて一緒に食べた。
テレビはついてたからシンとしてはなかったけど、少し静かだった。
準備が終わり、バッグを肩にかけて靴を履く。
ドアに手をかけると焦凍が話しかけてきた。
焦「A」
『ん？』
焦「何かあったら、すぐ連絡しろよ」
『うん……？わかった』
どういう意味だろう。
まあとりあえず連絡はしよう。
『いってきまーす』
いってらっしゃい、という焦凍の声を聞いて、ドアを閉めた。
焦「…………」
『ごめん樹！待った？』
樹の姿が見えたから小走りで向かった。
樹「いや全然待ってないよ、俺も今来たとこ」
『そっかー。じゃあ行こっか』
樹「うん」
電車に揺られること１５分。
駅を出て映画館に向かった。
――――――ハズだった。
『樹、ここ、どこ？』
樹「……俺とAが秘密のコトする場所」
そこは……薄暗い路地裏のドアの中。後ろを振り向こうとしたが、何かに押し倒され冷たい床に倒れこんだ。
『ち、ちょっと待ってよ樹……』
樹「…………待つかよ」
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作者名：派閥弁当 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年6月11日 1時
