１６話 ページ17
ーA Sideー
お風呂から上がり、リビングのソファに座って濡れた髪をタオルで拭く。
……心配するな、か。
まあ別に心配してたってわけじゃないけど、嬉しかった。
嬉しかったのに、笑えなかった。
焦凍は、私に気を遣ってくれているのに。
ﾄﾀﾄﾀ
焦凍が上がったみたいだ。
私は部屋から持ってきていた宿題を始め、それを見た焦凍も一緒に始めた。
『……んー…』
焦「どうした。どこか分からないのか」
ほら、またすぐに声かけてくれる。
『…うん。ここ。答えが合ってなかったんだよね』
見せてみろ、と私のノートを取った焦凍は私の回答を少し眺めて、私にノートを見せた。
焦「ここ。計算の仕方間違ってるだろ。こっからズレてんだ」
『……あーなるほどね。ありがとう焦凍』
焦「ああ」
焦凍は頭がいい。いや、私も自分の頭がそこまで悪いとは思ったことないけど、焦凍には敵わない。
また答え合わせを始める私の隣で、今度は焦凍が唸った。
焦「……わかんねえ」
『見せて』
焦「ああ」
私たちは、こういう面だけで見れば普通に仲良し兄妹に見えるんだろうな。
でも、ケンカのときとかは本当仲悪くなる。
まあしょっちゅうケンカする兄妹なんてよくいるって聞くし、別に問題ないだろう。
私たちのケンカが本当に酷くなったときのことを考える者は、このときはまだ誰もいない。
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作者名：派閥弁当 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年6月11日 1時
