１５話 ページ16
家の風呂場は広い。らしい。
友達の家に泊まりに行ったことのあるAが、「あの子ん家のお風呂超せまかった。足伸ばせなかった」といっていた。
そいつん家の風呂場が狭いだけかと思ったが、どの家も普通はそれくらいらしい。
つまり家は普通じゃないそうだ。
まあ足の伸ばせない風呂なんて、俺だって入りたくねえ。
風呂場に入ると、まあそこそこ湯気があったものの、シャワーを浴びているAははっきりと見えた。
また恥ずかしくなったが、俺だけそんなのはなんか悔しかったから、必死に抑えてた。
うちの風呂場はシャワーが６つある。多分客用だ。
俺はAの隣に行った。
『あ、焦凍』
焦「なんだ」
『……お背中流しましょうか？』
本当。今日は疲れてんのかもな。
焦「…ああ。頼む」
あっさり頼んでしまった。
まあ断る理由もないし、別にいいだろう。
ぺたぺたと俺の後ろに移動していくAの姿が鏡に映った。
胸でけえな。
焦「！？！？！？」
『どっどうしたの焦凍？痛かった？』
焦「いや、ちげえ。なんでもない。続けてくれ。」
うん……？と言ったA。
何考えてんだ本当に俺は。敵の個性にでもかけられたか。
でもどこもおかしくないし多分違うな。
というか、別に俺がそういうこと考えててもいいだろ。
俺だってまだ中３。そんなこと考えるのにヘンな歳じゃねえと思うが。
さすがに、自分の妹のことをそう思うのはやっぱりおかしいか……？
Aは背中を流してくれ、俺たちは湯に浸かろうとしていた。
ぺたっぺたっと歩き、段差のところは手すりを使って湯船に入っていくA。
そして俺も入る。
『……』
焦「…ふぅ」
気持ちいい。
『ねえ焦凍。』
焦「なんだ」
『お風呂、気持ちいい？』
目線を下に下げたまま、Aはそう聞いた。
焦「……ああ」
こいつは風呂の温度もわからねえんだろうな。
だから昨日だってのぼせてたし。
『そっか…』
小さく呟いたAは、悲しい表情をしていた。
焦「きっとAも気持ちいはずだ。心配するな。」
励ましになれば、と思った。
『……そうだね。ありがとう』
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作者名：派閥弁当 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年6月11日 1時
