１１話 ページ12
放課後。
部活は２年で退部していた。だから今はそのまま帰る感じ。
まあお父さんに無理矢理やめろって言われたんだけどね。
靴箱で靴を履き替えていると、奥に焦凍が見えた。
『焦凍』
焦「おお、A。一緒に帰るか。」
『うん。』
私の呼びかけに振り返った焦凍は一緒に帰ろうと言った。
こんなふうに、変える時間がたまたまそろったりするのはよくあることだ。
なんでだろうね。双子のシンクロ率って普通の兄弟の５倍とか聞いたことあるけど、そうなのかな。
そんなこと考えてると、外周中のクラスメイトを見つけた。
「あーーA！と、轟さん！一緒に帰んのー？」
『そうだよ。部活頑張ってね』
「ありがとーー！！じゃまたねーー」
ヒラヒラと手を振って、再び前を向いて歩く。
焦「なあ」
『ん？何？』
焦凍が話しかけてきた。
焦「お前、クラスに友達結構いるほうなのか」
突然そんなこと聞かれても、と思ったけど、質問に答える。
『んーーどうなんだろ。でもみんなとお話とかできるよ。仲いい子もいるし。』
焦「……そうか。」
どうしたんだろう。
焦「愛川って女、知ってるか。」
愛川？ああ、知ってるよ。
『うん。１年の頃同じクラスだったよ。何で？』
そりゃ質問されたら気になるよね。
焦「そいつに、手紙もらった」
『手紙？』
見せて、と言うと、焦凍はバッグをゴソゴソと探し、可愛らしい封筒を一つ取り出した。
焦「これだ」
手渡してもらうと、「中まだ見てねえんだが、先に見てくれないか？」と言われた。
ペリ、と口を開いて中の手紙を開く。
そこに丸文字で書かれていた内容は、
〈轟くんへ
１年のころから好きでした。付き合ってください。
お返事待ってます。
愛川 めぐより〉
といったものだった。
いわゆる「告白」だ。
『……』
焦「どうした。」
口を開けて手紙を眺める私に、焦凍はそう言った。
焦凍にも見せないとだよね、これ。
『めぐちゃんから、これ告白だね。』
と言いながら手紙を渡した。
それを一通り読んだ焦凍は、「はあ…」とため息をついた。
『どうしたの？』
焦「これ、返事返さないとダメか？」
え？
何言ってんの焦凍。あたりまえでしょ。
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作者名：派閥弁当 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年6月11日 1時
