幼馴染(正義感の塊)がうちの組織(真っ黒)に来てしまったんだが。

ダメなものはダメ ページ6

もうすでに部屋を出て行ってしまった兄を追いかけて、私も早足で廊下を進む。



この建物は高層マンションの上半分がホテルになっていて、さっきまで私達がいたのは最上階のイベントホール。

もちろん非常階段はあるけれど、どう考えてもこの高さ、階段で降りようとは思わないはず。


となれば、目指す場所は一つ。




『........やっぱり。いた。』




エレベーターホールで佇む大きな人影。

背が高く、真っ黒なコートを着て...........膝裏あたりまで伸ばした髪は、綺麗な銀色。


間違いない、私の兄さんーーーーーーージン。




「.........あ？誰かと思えば......お前か、ミモザ。」





わああああああ！！！！！声！！！！！久しぶりの兄さんの声！！！！！！
くっっっそ、録音しとけばよかった！！！！！！

いや録音じゃ足りない、ビデオ！！！！映像！！！！！！兄さんの姿をこの場で録画したい今すぐに！！！！！！！



・・・。




『.........ええ。久しぶり、兄さん。』


「ああ。.........一年ぶり、か？」


『そうね......。』




ーーーーーーもおおお！！！！私の馬鹿！！！！！！せっかく兄さんが「ああ。」以外のことも言ってくれたのに！！！！話広げてくれたのに！！！！！！！

何が『そうね.......。』よ！！！！！！私が話止めてどうするのよ！！！！！！！




『........そうだ、ベルモットから伝言があるの。次の任務のこと、ラムから話がいくでしょうから、だそうよ。』


「そうか。わざわざ手間かけさせたな。」


『別に。..........その、ついで、だったから。』


「ついで？......何か他に用でもあったのか。」




ーーーーーー頑張るのよ、私.......！！！！今こそ！！！ここで言うのよ、『兄さんと久しぶりに会って話したかったの』って！！！！！！！！
言うのよ！！！！！！！！！！さぁ！！！！！！！！




『..................このビルの近くで、限定デザインのピアスが売っているらしくて。それが早い者勝ちらしいから、早めに顔合わせ終わらせたくて......』




あ...............うぁ....................


あああああああああああ！！！！！！！
だめ！！！！！！やっぱり恥ずかしくて言えない！！！！！！！

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