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授業を終えると、佐久間くんと約束している場所へと向かう。大学の出入口となるそこへ、授業を終えたあべもまた向かう。
《Aちゃん〜!》
『佐久間、くん。』
佐久間くんがいるとは思っていないあべは驚いた顔をしていて、私と佐久間くんの顔を交互に見た。
「え、何、今日も約束してたの?」
《そ!今日は二人で!ね?》
『…うん。』
へえ、と神妙な顔を一瞬したけれど、すぐに普段の顔つきに戻った。
「じゃあ俺も待ち合わせしてるから!じゃあね。」
昨日と同じく、去っていくあべの背中を見送って。
佐久間くんに、目を向けた。
《目、真っ赤じゃん。あべちゃん何も言わなかったんだ?》
すり、と目元を撫でた指先が柔くて、繊細で、壊れ物を扱うようだから、たまらず縋りたくなったんだ。
『ちゃんと、なんにもない、って、言えたよ、?』
《そっか、じゃあ今日は甘やかしてあげないとね?》
佐久間くんは飴と鞭の使い手だ。今朝の嫌いかも、と思った気持ちなんて、とっくにどこかへ消えて、すっかり彼の手中らしい。
差し出された手を取ることが、どういうことかはわかっている。
付き合ってもいない、ましてや好きでもない人と、夜を明かす、ということだ。
それでも、この時は救いの手に見えた。
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まのか(プロフ) - もぉぉぉぉぉぉぉ!!最高ですっ!一気に読ませてもらって 仕事の疲れが吹っ飛びました!w更新楽しみにしてますね^^ (2020年8月11日 20時) (レス) id: 496b8676bf (このIDを非表示/違反報告)
セン(プロフ) - すごい面白くてあっという間に読んでしまいました。続きを楽しみに待ってます。 (2020年8月11日 19時) (レス) id: 0585149188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月叶 | 作成日時:2020年8月5日 0時