9.N ページ9
「最近、うちの社長がご機嫌で。たまにしか家に帰ってこなくなりましたから、コレでもできたんじゃないかと私、思いまして。」
小指をツイ、と立ててみせる。
「それはもう間違いないよね。」
「…どうでもい〜〜〜けど、まぁ、自宅に連れ込むよりかはマシか…オジサンの恋愛とか間近で見たくねえ」
「だな。それも確かに。」
「…そういうアナタはどうなのよ、翔さん?でしたっけ、」
「あー…。特に、かな。何なら良くないニュースがある」
「あらら。良くないニュース、ね。何なのよそれ。聞かしてもらおうじゃないの」
「なんかニヤニヤしてんのうぜえ。俺が踏み出さねえからって言いたいんだろ」
「あら、分かってんじゃないのアンタ」
「…へいへい、俺はどうせ本命にはモテませんよ」
「さりげにモテアピールしてくるよね」
「…まぁそれで、悪いニュースというか。知らない男が突然押しかけてきて、それからルームシェア?状態なわけよ」
「あら〜…よりによって男。」
「俺はさっさと通報しろって言ってんだけど、悪い人じゃなさそうだからってまだ翔さんの家に入り浸ってんの、マジで嫌だ。俺すら翔さんの家に行ったことねえのに。」
「…お気の毒ネ。突然現れた見ず知らずの他人に先を越されるなんて。」
「本当ね…何してたんだろうね、俺」
「もう入社してからアンタ何年よ?かなり長いこと経ってるじゃないのよ。ドンマイだわ〜」
「言うなって…」
がくりと松本が項垂れる様を見て、常に自信に満ちているこの男にそんな顔をさせる"翔さん"というのが俺は気になった。
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作者名:Mia. | 作成日時:2019年1月16日 2時