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5.O ページ5

たぶん一目惚れだった。


たまの仕事を終えタクシーを捕まえようとしたところだった。

タイミングよく現れたタクシーは少し先で止まり客を吐き出した。乗ろうと手を挙げかけたとき、客の男がもんどり打って地面に倒れた。タクシーの運転手は非情にも迷惑そうな顔をして、俺の横を通りすぎていった。

さすがに男を無視できる距離ではなかった。

それに。


「キレーな顔…」


男はとても可愛い顔をしていた。
どんな人なんだろう、話してみたい。何なら触れたい。

欲求には素直に従う自分の性質(たち)に苦笑をすると、俺はその男に近寄った。




介抱してくれるの…?

まるでそんなことを言うかのようにトロンとした上目遣いで男は俺をぼんやりと見上げる。一目で上質とわかるスーツも格好よく決まっていて。

たまらない。

介抱なんてそんな甘いものじゃねえよ。
想像以上の衝撃に俺は若干の焦りすらあった。
フン。
絶対に俺のにしてみせる。こう見えて努力家なもんで。



男の懐から手帳を取り出すと住所を探し、ついでにまさぐったポケットから家の鍵らしきものも取る。

よ、っと男を抱え上げると俺は強引に男の家へあがった。





たぶん一目惚れだった。

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作者名:Mia. | 作成日時:2019年1月16日 2時

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