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19.N ページ19

「何かあったんですか?」


これは聞いておかないと。
そんな気がして、話を掘り下げた。その、意味ありげに泳ぐ大きな目を真っ直ぐに見て。


「…いや、それが…」


徐に厚い唇が語りだす。けれど言葉を選ぶようにゆっくりと。おそるおそる。それから出来るだけライトに。事の深刻さを測らせないような。


「…ね?普通に考えて危険すぎるわけ、その男。俺は追い出せって言ってんだけどさあ。」


「へぇ…いつからなんです?」


深い意味はなかった。ただ会話を広げるために聞いただけで、だから思わぬ違和感に顔が歪む。


「…3ヶ月くらい前?」



3ヶ月程前、というと。

…いや、まさかな。
自分の中の伏線回収に流石によく出来すぎていると笑いたくなる。なんでも勘繰るのはよくない。だけれども拭えない嫌な予感。



「あのー…つかぬことをお聞きしますが、それ、どんな人でした?」


嗚呼どうか。ど〜かワタシの思い浮かべた人じゃありませんように。神様。


「どんな人?…うーん、あ、写真あるよ」


当たるも八卦当たらぬも八卦…!
ええい、ままよ!



「ほら!この人。悪い人じゃあないんだよ、少々強引なところもあるけど…」




あー…。完全にアウトー。
マジか。当たっちゃったよ。どうすんのコレ。まずいよ、まずすぎるだろ!


はあ、とため息が出る。


どうしたの、と見つめるふたつの視線に仕事で急用が入ってしまいまして、なるべく申し訳そうに言う。ごめんなさいね、頭を軽く下げそそくさと帰る準備をば。あ、潤くんにツケで。これも忘れずにね。




さて…まったく仕事を増やしてくれるじゃないの、うちの社長は。

まずは確認の電話か…一回で出てくれるといいんだけど。

まぁ出なくても、今回ばっかりはこっちもしつこくかけますけどね!?ワタシ、怒ってますよ?

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作者名:Mia. | 作成日時:2019年1月16日 2時

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