12.S ページ12
「なあ、俺そろそろしょーくんとえっちしたい」
それはすでに消灯して、深夜0時を回っていた頃だった。突然の事に俺はハァ?と間抜けな声が出た。
そう、なんやかんやで流されて――いや認めたくはないが――まぁとにかくあの男の強引さに負けて俺とこの男はもはや同じベッドで寝ている仲にあった、のだが… たった今しがたの唐突な話に、そして素早く馬乗りになられた状況に俺は完全に慌てふためいていた。
「ちょっ…何言ってんの!?智くん、悪ふざけもいい加減に…」
「俺は本気だぜ」
薄暗い中、低い声の後に真剣な眼が正面から射抜く。
それは普段の彼からは想像もつかない程冷ややかでシリアスを孕み、簡単に俺は恐怖へ落ちた。恐れ戦き、息が止まり、心臓だけが煩くこだましていた。少しの身動ぎも許されず、瞬きすら憚られて。蛇に睨まれた蛙とはよく言ったものである。
「ね?いいでしょ?」
口角がニッ、と上がったかと思えば唇に噛みつくような口付けが降った。
「ッ…!」
咄嗟のことに、思い切り歯をたてる。精一杯の抵抗だった。瞬間、男は離れた、が。
「…イイね。ますます気に入った。」
月明かりが親指で口角の血を拭う男を照らし出ている。こちらを見下ろす男はまるで普段の大野とは別人で、だけどめちゃめちゃ格好良かった。
…アレ?
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作者名:Mia. | 作成日時:2019年1月16日 2時