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『ここから落ちて、死んでしまいたいなって考えてました。』

 
「……え?」


まさかの答えに間抜けな声が出てしまった。 

 
 
『馬鹿ですよね。そんなこと考えるなんて。』
  
  
「…なぜそんなこと思ったんだい?」

 
 
俺がそう聞くと、望月さんは、
俺と同じクラスの佐藤さんと付き合っていたこと、数日前に 別れてしまったこと、佐藤さんが転校生の藤本さんを好きになってしまったのがその原因だということを話した。
 
 
途中から泣きながらも、話を続けてくれた。

 
 
 
「 辛かっただろう。よく頑張ったね。」
 
 
そう言って泣いている彼女の背中を摩る。
 
 
そうしながらも、俺は「でもね」と話を続けた。
一つ、言っておきたいことがあった。
  
 
「死にたいなんて思っちゃ駄目だ。」

「死にたくなくても、死んでいってしまう人がいる。」
 
  「俺は一度重い病気になったことがあってね。それで改めて気づいたんだ。生きることが、健康であることがどれだけ尊いことか。」
 
 
それは、俺が病気という経験を通して学んだことだった。
 
 
 『すみませんでした…』
 
そう言って謝る彼女には俺の言いたいことはしっかり伝わっている様だった。
 
 
「謝ることは無いよ。わかってくれたみたいだし。」
  
まぁ、俺も病気になるまであまりそういうことは考えたことなかったしね。
 
 
 
 
それから少し望月さんと話をして、予鈴が鳴り、教室へと向かった。
 
望月さんはと言うと、保健室へ行くことになった。

  
教室に向かう足を進めながら思う。

 
俺は初対面の相手に何をしていたのだろう。

 
長い間 思いを馳せていた訳でも無ければ、あの場で好きになったりした訳でもない。

でも、何故か放って置けなかったのだ。
 
 
 変なことをしてまった…
 
 
 
そういえば、昨日の部活のときに柳が練習試合のときの臨時マネージャーに望月さんはどうかと言っていたな…
 
昨日はいきなりのことで驚いたけれど、良いかもしれない。
 
今日の部活で伝えておこう。
 
そんな事を考えながら、足早に教室へ向かった。

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作者名:抹茶きなこ餅 | 作成日時:2017年1月30日 17時

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